日本代表の劇的逆転勝利でドーハで日本人が大人気。サウジサポーターとの絆も
中東カタールで連日熱戦が繰り広げられている、2022サッカーW杯ドーハ大会。日本代表は23日、ドイツ代表と対戦して、2−1で勝利。優勝3回のドイツ相手に厳しい戦いが予想されたが、前半にPKで1点を失点して迎えた後半、堂安律、浅野拓磨のゴールで見事逆転勝ちを収めた。
この日、記者も決戦の地となったハリーファ国際スタジアムに馳せ参じ、勝利の瞬間をしかと見届けた。
実は、試合開始3時間前の開門時間前にスタジアムに到着していた記者。スタジアムに向かう地下鉄内やスタジアムに向かう道すがら、様々な国の人に「日本は今日試合? 相手は? ドイツ? うわー大変だね、でも幸運を祈るよ」などと声をかけられていたこともあって、かなり弱気になっていたのだ。
そんな心境で開門を待つ間、ゲートに立っていた男性係員が、記者のサムライブルーのユニフォームを見ると話しかけてきた。
「今日はドイツだろ。俺はなんか……君たちは世界を驚かせることをするような気がするんだよね」
続いて、彼は日本が勝つとはっきりと言う。海外ではよくある社交辞令か。お世辞だとしても、まぁ嬉しいなぁと思っていると彼は続けた。
「だって俺たちにもできたから。俺はサウジアラビア出身なんだ」
聞けば彼はボランティアでサウジから隣国カタールにやってきて、会場整理の担当をしているという。
「俺たちにもできた」が指すのはこの前日、サウジアラビアがこちらも優勝候補の一角、アルゼンチンに逆転勝ちしたことを意味している。サウジの勝利は世界中に衝撃を与え、記者が寝泊まりしているコンテナ村「ファンビレッジ・フリーゾーン」でもここで働く労働者も小躍りして喜ぶほど、熱狂を巻き起こした。
サウジの国旗を振ったり、身にまとったサポーターには各国の人から「Congratulations!(おめでとう!)」と賛辞が浴びせられていた。道を歩いていても誰彼構わず、声をかけられるサウジサポーターを、記者自身も彼らに声を掛けながら、内心羨ましく思っていたのだ。
彼は最後にこう続けた。
「ワンアジアだろ。アジアの力を見せようぜ」
結果は2−1。奇しくもそれはサウジと同じ得点経過だった。前半にPK先制点を許し、後半相手の猛攻をしのぎ、カウンターで2点を取って逆転勝利。
勝利の興奮そのままに「ファンビレッジ」に帰ると、各国のサポーターから「Congratulations!」「Amazing!」「Good Game!」と賛辞の嵐。翌日おろかそれは今日も続いており、日本人がサムライブルーのユニフォームを来て歩いているだけで、街中の人から「おめでとう」を言われる事態となっている。
「今日はドイツ? 大変だねぇ!」
スタジアムの係員からかけられた意外な言葉
「俺たちにもできた」
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