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「男たるもの、弱音を吐くんじゃない」同じ男性からも責められ…逃げ場のない“弱者男性”の悲鳴

 経済面や健康上の問題を抱えるなどして、社会の網からこぼれ落ちた人々を指す「弱者男性」という言葉。Xでは、弱者男性を自称しながら差別的な言葉で女性に絡むアカウントが散見される。彼らはなぜ女性を攻撃するのか、背景には何があるのか――? Xアカウントの中の人に取材を行った。

なぜ一部の弱者男性は女性差別的な発言をするのか?

弱者男性パンデミック

写真はイメージです(以下同)

「女性を差別したことなんて、一度もないですよ」と、目の前の男性は語った。だが、男性は女性への差別発言を繰り返したことで、訴訟を起こされていた――。  清掃業に勤めて2年目、自らを弱者男性と認識する池田さん(仮名)は、主にXで投稿している。Xでのフォロワー数は2万人にのぼる。その多くは、女性アカウントに“絡む”投稿だ。 「バカマ◯コは、稼いでも男を養わない」 「女がまともじゃないから、男がネットでグチってるだけで、それが嫌なら早くまんさん(女の蔑称)がまともになれよ」 「おっさん女子とか言うけど、おっさんほどの甲斐性が女にあるのかね」

女性差別をしている自覚がない

 池田さんの投稿をたどると、こういったログがずらずらと出てくる。あまりにも女性差別的なので、筆者も怒りを通り越して、笑ってしまった。だが、池田さんはそれを自覚していない。そこで、筆者はその投稿のスクリーンショットを見せ「これは女性差別をした投稿ではないと思いますか?」と聞いてみた。 「違いますね」  池田さんは断言した。 「これは、それぞれの投稿ごとに反論している相手がいるわけですよ。フェミって、頭おかしい人もいるじゃないですか。そういう人に反論するとき、相手も相当失礼なことを言ってくるわけです。それに言い返しているわけですから、多少失礼な物言いになるのは仕方がないんですよ」  さらに、池田さんは続けた。 「別に、女性全員がおかしいとは思っていないです。もし仮に、女性全員が劣っているなんて思っている人がいるとしたら、その人は狂っていますよ。そんなわけないじゃないですか」  実は、池田さんの発言は例外的なものではない。SNSで女性差別的な投稿をしている弱者男性の多くは、自分が女性差別をしているとは思っていないのだ。当初は、筆者が女性だから、面と向かって女性を差別していると言いづらいだけかと考えた。そこで、男性のインタビュアーを派遣してヒアリングを重ねたが、やはり回答は変わらなかった。
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「僕たち男性が苦労して女性を養おうとしているのに…」
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ライター、経営者。主にキャリアや恋愛について執筆。5000人以上の悩み相談を聞き、弱者男性に関しても記事を寄稿。著書に『弱者男性1500万人時代』(扶桑社新書)『ハピネスエンディング株式会社』(小学館)。X:@10anj10

弱者男性1500万人時代 (扶桑社新書)『弱者男性1500万人時代』 (扶桑社新書)

データで読み解く“弱者男性国家”ニッポンの現在


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