ニュース

ディズニーランドは「なぜ浦安にあるのか」“もう一つの候補地”が選ばれなかった、決定的な理由――仰天ニュース・大反響トップ10

反響の大きかった2023年の記事から選ばれたジャンル別トップ10。今回は集計の締切後に、実は大反響だった11月12月公開記事に注目。惜しくもトップ10入りを逃した記事を順不同で紹介!(集計期間は2023年11月~2024年1月。初公開2023年12月16日 記事は取材時の状況)  *  *  * 全国に数多くあるテーマパーク。今もなお新しいテーマパークが生まれては人々を楽しませ続けている。しかし、そんなテーマパークには、あまり語られることのない側面が存在する。そんな、「テーマパークのB面」をここでは語っていこう。 東京ディズニーランド(以後、TDL)が「夢と魔法の王国」を謳っているように、テーマパークといえば、その土地にありながらにして、どこかその土地とは異なる場所にいるかのような感覚を与えてくれるものだと私たちは思っている。 「まるでここは別世界だ!」と思わせる度合いがどれぐらいなのかが、そのテーマパークの質を決めているといってもよいのかもしれない。その点で、TDLは、確かにきわめて質の高いテーマパークだといえよう(今更言うほどのことではないかもしれないけれど)。 有名な話だが、その園内からは外の風景が見えないようになっている。だから、そこを訪れた人が、かつてその地域一帯が小さな漁村だったことを意識する機会はほとんどない。TDLが位置する浦安は、パークが誘致される以前、のどかな漁村の集まりだった。
TDL

J_News_photo – stock.adobe.com

開園予定地の最終候補は「浦安と富士山麓」

TDLがこのように「外の環境」を遮断しようする傾向は、例えばその立地が選ばれる際にも顕著だった。TDLの開園予定地にはいくつか候補があって、その中でも最後までその候補地として残ったのが、浦安と富士山麓だった。 浦安にせよ富士山麓にせよ、大都市からさほど遠くない距離で訪れることができる点に注目すれば、どちらにパークが誕生しても、観光地としては成功しただろう。事実、富士山麓にある「富士急ハイランド」は多くの観光客を呼び込むことに成功しているから、候補地の段階ではどちらを選んでもよかったはずである。 しかし、ディズニーは浦安を選んだ。なぜ、富士山麓を拒んだのか。ディズニーランドが目指す「夢と魔法の王国」という「日本」とは異なる場所を作るためには、「富士山」という巨大なランドマークが不必要だったのである。

日本のシンボル・富士山は“邪魔”だった

いや、不必要、というよりも、邪魔と言っても良いぐらいだったかもしれない。ディズニーランド中央に建設されたシンデレラ城の景観は、決して富士山に邪魔されてはならない。このような「外の環境」を強く避けようとする態度が、浦安という場所にディズニーランドを誘致させたのだ。 ところで、TDLが忌避した富士山というアイコンだが、「その後のディズニーリゾートの開発において、実は富士山が無意識的に重要な役割を背負わされてきたのではないか」、と私は考えている。
次のページ
日本側主導で作られた「東京ディズニーシー」
1
2
3
ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
記事一覧へ
おすすめ記事