将棋電王戦の結果がこわい 人間vsCPUどちらが賢い?

1月14日、人間とコンピュータがガチンコで雌雄を決する世紀の一戦『将棋電王戦』が行われる。対局するのは、日本将棋連盟会長・米長邦雄永世棋聖と、将棋対局ソフト「ボンクラーズ」。対局の模様はニコニコ生放送でインターネット中継される予定となっている。

人間代表となる米長邦雄永世棋聖は、2003年に現役を引退しているものの、歴代5位となる通算タイトル獲得数19期(1位は羽生善治二冠と故・大山康晴十五世名人の80期)の記録を持っている。平安時代から続くと言われる長い長い将棋の歴史の中でも、最強の一角を占める伝説的な棋士のひとりだ。

対するコンピュータ代表のボンクラーズは、富士通セミコンダクターの開発者・伊藤英紀氏の手による将棋対局ソフトで、昨年開催された『第21回世界コンピュータ将棋選手権』で優勝。世界最大のネット対局サイト『将棋倶楽部24』でのアマチュア相手の勝率は9割5分を超える。つまり、プロ以外の人間に負けることはほとんどない。1秒間に1,800万手もの局面を読むというから途方もない話だ。

ちなみに、プロが公の場でコンピュータ将棋と対局することは、2005年から原則的に禁止されており、それ以降の公式対局の前例は2局しかない。したがって、実際にプロ棋士と現在のコンピュータでは、どちらがどのくらい強いのか、ハッキリとしたことはわからない。たとえボンクラーズでも、プロ棋士相手に絶対に勝つとは言えないのだ。

そもそもコンピュータ将棋の歴史を振り返ると、90年代まで、コンピュータはアマチュア相手に勝つのもやっとだった。しかし、2005年に画期的な技術が採用された将棋対局ソフト「Bonanza(ボナンザ)」(※1)が登場すると、CPUやメモリなど、ハード面の進歩もあって急速にパワーアップしたという経緯がある。

プロとの公式対局では、2007年に行われた渡辺明竜王とBonanzaの対戦は竜王の勝利に終わったが、かなりの健闘を見せるようになっていた。そして2010年、東京大学の169台ものクラスターマシンをつなげた大規模な将棋システム「あから2010」と、女流棋士のトッププロである清水市代女流二冠(当時)との対局では、コンピュータ側が勝利(※2)。プロ棋士を破る「Xデー」も近いか、という中での電王戦なのだ。

ここで将棋以外のボードゲームに目を向けてみよう。チェスの世界では、10年以上も前となる1997年に、IBMのコンピュータ「ディープ・ブルー」が当時世界チャンピオンだったガルリ・カスパロフを僅差で破っている。また、チェスより単純なオセロでは、同じ1997年にコンピュータ「Logistello(ロジステロ)」が世界チャンピオンの村上健に6戦全勝という記録が残っている。

将棋と囲碁は、コンピュータがプロに勝つことが難しく、より複雑なボードゲームとして知られている。数学的に必勝法を力技で全部計算しつくすことは現実的にほぼ不可能なので、勝負はいかにコンピュータが人間の持つ思考力に近づけるのか、そして超えられるのか、という問題になる。将棋や囲碁のコンピュータソフトの開発は、人工知能研究の観点でも大きな意義があり、電王戦はその意味でも、まさに歴史的な一戦なのだ。

さて、電王戦ではどちらが勝つのか、ここで大胆予想をしてみたい。

⇒後編に続く http://nikkan-spa.jp/129465
【徹底予想】プロ棋士がCPUに負ける理由 H×H会長vs王戦の再現はイヤだ!

※1:「ボンクラーズ」は、「ボナンザ・クラスターズ」の略で、Bonanzaをクラスタ並列させたもの、という意味がある。決してボンクラとか『あずまんが大王』とかではない、はず。

※2:プロの「女流棋士」と「棋士」は異なる資格で、女流棋士のトップレベルでも棋士には及ばないので、コンピュータが棋士に勝った、というわけではない。

◆関連リンク
ニコニコ生放送 放送URL http://ch.nicovideo.jp/channel/denousen
将棋電王戦 http://info.nicovideo.jp/shogi/
将棋倶楽部24 http://www.shogidojo.com/

取材・文/坂本寛

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