「景気回復なき増税は日本をダメにする」飯田泰之氏が断言
◆消費税増税前に、そもそも歳出を減らし、ほかの税率を見直すべし!
「日本の財政は厳しいので、いずれの増税はやむなし。でも、今、そして消費税である必要はなかった。低所得者や事業主への負担も大きく経済は冷え込むでしょう」
とは、経済学者の飯田泰之氏だ。「社会保障のためならば増税は仕方ない」という世論もあるが、必ずしも社会保障のために使われるわけではないらしい。
「消費税は目的税ではないので、使い道は決められていない。消費税法案が衆院を通過した直後に“整備新幹線の認可”が下りましたが、これは『消費税を公共事業にも使いますよ』という意思表示だと思いますね。『予算があるなら使わなきゃ』という発想です」
また、消費税増税論を語る人には「日本の消費税は欧米と比べて低いので上げても問題ない」と指摘する人も。
「とんでもない。各国の税収構成比のグラフから消費税の割合を見ると既に日本はそんなに低くないのに、今回の増税によって倍になる。また、『欧米に見習って食料品は軽減税率を』という声もありますが、ややこしくなるだけ。おもちゃの課税率が高いから、食品をつけて豪華なおまけつき食品として流通させるなど、税金を低くするために抜け道はたくさんある。それに、軽減税率は政治家に利権を生むことになるのでよくない。なぜなら、税率を下げてほしい業界団体がたくさんすり寄ってくることになるからです。だったらもっとほかのやり方がある。例えば、現在は払っている人が少ない相続税。維新の会が掲げている100%は行きすぎですが20%ぐらいにして普通の人が普通に払う税金にするべき。十分、今回の消費税増税と同じ額の税収増が見込めます」
国際比較グラフ【画像】はコチラ⇒
https://nikkan-spa.jp/254344/dma-1207_sp_01
相続税は全死亡者の4%程度の相続人しか払っていないのが現状だが、ここが増えれば日本の税収は十分に上向くので、なにも消費税でなければいけない理由はない。
「あと民主党政権になってから、予算が10兆円以上増えている。社会保障費が増えるのは仕方ないにしても、違う分野でも増やしているのが問題。増税前にやることはあるし、景気対策のほうが大事。’07年は景気がよく税収が上がり基礎的赤字はマイナス6兆円まで減った。政府は超金融緩和政策を取って日銀が国債を引き受ける。これで、景気は回復します。とにかく、インフレが起きないと増税しても日本はダメになりますね」
景気回復なき増税では、日本の経済が悪化するばかりなのだ。
【飯田泰之氏】
駒沢大学経済学部准教授。本誌連載の「週刊チキーーダ!」でもお馴染みのエコノミスト。専門は経済政策、マクロ経済学。著書に『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社刊)など多数
取材・文/佐藤留美 藤村はるな 上野 智(ミドルマン) 八木康晴(本誌)
イラスト/石井匡人 図版/ミューズグラフィック
― [消費税10%ライフ]完全シミュレーション【6】 ―
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