刑務所でも高齢化が問題に。受刑者が高齢受刑者の介護をすることも…
慶應義塾大学環境情報学部を卒業し、現在は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に在学し、元経産省官僚の岸博幸教授に教わるという才女の辻谷実夏さん。卒業論文では「少年犯罪加害者の実名報道の是非について」について研究するなど、ニュースで耳にする法律用語や身近な法律にも非常に興味を持っているという。今回、高学歴タレント辻谷さんによる「気になるニュースな言葉」をわかりやすく解説する新連載がスタートする!
新型コロナウイルスを巡る外出自粛によって、110番通報や刑法犯認知件数が昨年に比べ減少傾向にあるそうです。そもそも犯罪件数(認知件数)は平成16年度をピークに減少しており、凶悪事件や少年犯罪なども同じ傾向にあります。「犯罪が増えている」「凶悪な事件が多い」と感じることもありますが、これは悪いニュースは広がりやすく、印象に残りやすいことによる誤解と考えられます。
罪を犯し、刑に服することになった人を収容する場所が刑務所。近年では「刑務所ダイエット」などでも話題になりますが、実態はよく知られていません。そんな刑務所において私が気になっている問題が、刑務官、特に女性刑務官の人手不足問題です。そこで、一般的にあまり知られていない「刑務所」の内情についてお話ししていきたいと思います。第一回は、「刑務所の問題点」編です。お話を伺ったのは、アディーレ法律事務所の古沢隆之弁護士です。
刑務所で働く刑務官は法務省管轄の国家公務員であり、矯正局に配属されたのちに更生施設において、社会復帰や厚生のサポートを行います。更生施設に収容されている受刑者と寝食をともにし、生活の中に更生のサポートがあるイメージです。
以前、私が長野や千葉の刑務所に見学に行ったとき、刑務所の中の環境は体育会系文化のようなものがあると感じる部分もありました。やはりそう考えると、女性刑務官にとっては厳しい環境なのかもしれません。かくいう私も、かつては刑務官に関心を抱いていました。しかし、実情を考えるとなかなかハードルが高いなと感じてしまいました。だからこそ、就業環境の改善や条件の見直し等を行い、人員が増えることが理想だと思います。
犯罪件数こそ減少傾向にあると述べましたが、高齢者という括りにすると65歳以上の高齢者による犯罪件数は増加傾向にあって、近年は高止まりしています。
そこで問題となってくるのが、「受刑者の介護にまつわる問題」です。高齢者の収容者に対しては、車椅子を押す、入浴の介助を行う、食事や排泄の世話など、ただでさえ大きかった刑務官の負担がますます大きくなってしまっています。なお、高齢の受刑者は刑務所の食事や入浴など生活環境が充実しており、その環境を求め、犯罪を再び起こし戻ってくることも多いとか。日本における高齢化問題の深刻化は刑務所内にまで及んでいました。
これに対して、国や地域は、高齢者を受け入れる基盤や受け入れ組織の強化を行う必要があるのではないかと感じます。刑務所がこれからの社会に対応できるよう、更生施設として正しいあり方を目指していけることを願います。
今回話を伺ったのは……弁護士・古沢隆之さん
明治大学法学部を卒業後、立教大学法科大学院を修了し、アディーレ法律事務所の弁護士に。離婚、養育費、慰謝料などの家事事件、破産・再生等の債務整理を中心に民事事件を数多く手掛ける。
法廷で相手方と戦うだけでなく、裁判をせずに問題の解決につながることもある相談・助言をするのも弁護士の重要な仕事と捉え、日々、業務にあたる。旅行や食べ歩きが好きなほか、戦車や戦闘機に興味があり、各種記念行事にも参加するほど。
慶應義塾大学環境情報学部卒。大学時代は現役警察官僚による社会安全政策のゼミに所属。
授業では韓国語習得の勉学に日々励む。卒論テーマは「少年犯罪加害者の実名報道の是非について」。
現在は、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科在学中で、元経産省官僚の岸博幸教授に教わる。また、日中韓のビジネスコンテスト運営学生団体の活動や地方在住高校生向けに大学情報を執筆する学生団体の活動に勤しむ。インスタグラム@mika_mika_mika620


平成29年版『犯罪白書』より
刑務所でも受刑者の高齢化・介護が問題に

平成29年版『犯罪白書』より

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