群馬発のブラジル人アイドル「リンダIII世」を直撃

リンダIII世

前段左からサクラ、ムツミ、ナオミ(いずれも中1)、上段左から双子のサユリ、シオリ(いずれも中3)

 YouTubeの再生回数が8万5000回。現在、アイドルファン、音楽ファンの間で話題沸騰中のアイドルユニットをご存知だろうか。

 その名も「リンダIII世」。ポルトガル語で「美しい、美人」を意味する「リンダ」と、「日系人」をイメージさせる「三世」という言葉を組み合わせた、群馬県在住の日系ブラジル人によるご当地アイドルである。シュールなPV、アイドルらしからぬ個性的な楽曲・リズム、そして「平均年齢13.5歳」との触れ込み。中学生ながら日本人離れした容姿で話題となっているアイドルユニットだ。

 しかし、この「リンダIII世」メディア露出はほぼ皆無。公式HPやFacebookのページは存在するが、メンバーの簡単なプロフィールと、イベント出演情報のみという、某国も真っ青の「情報統制」ぶりも様々な憶測を呼ぶ一因となっている。しかも、地元・群馬県の大手家電量販店でのイベントでしかお目にかかれないという、「会いに行ける」を打ち出すには物理的にも精神的にも遠い存在となっている。

※youtubeで話題の「未来世紀eZ zoo」動画
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=glqgytTIqyM



 謎に包まれた「リンダIII世」のベールを剥がそうと、記者は湘南新宿ラインに飛び乗った。

 4月6日、高崎駅直結の「ヤマダ電機LABI1高崎」で行われたインストアイベント。当日は、爆弾低気圧が近づくあいにくの天気で、屋外の広場で行われるはずのイベントは室内へと変更されていた。

「写真動画撮影禁止」。デカデカと注意書きが貼られたステージに近づくと、なんと「※リンダIII世はOKです」と小さな文字が書き加えられている。実は、これは後に出る別のアイドルグループのための注意書き。なんとこの時点で、謎のアイドルは大きく胸襟を開いているではないか!

 会場を見渡すと、アイドル好きと思われる人々に混じって、日系ブラジル人もちらほら。海外メディアと思われるテレビカメラもスタンバイしており、関心の高さが伺える。実は「リンダ III世」はすでにブラジル本国でも知られており、ブラジルでは非公式ながらファンクラブも作られている。

 最前列に陣取る日本人の男性(43歳)はイベントの度に東京から来ており「今までのアイドルグループにない雰囲気にヤラれてしまった。群馬出身なのでなおさら応援したい」と、他のアイドルからすっかり鞍替えしてしまったのだという。

リンダIII世

「ちょっとたどたどしいのが、応援したくなる最大の理由」と東京から来た男性ファン

 定刻より少し遅れてステージがスタート。1曲目はPVのシュールさと、独特なリズムが話題のデビュー曲「未来世紀eZ zoo」。ブラジルの若者の間で流行する、バイリ・ファンキ調のイントロで元気良く飛び出してきた5人は、一糸乱れぬとは言いがたいが、一生懸命にパフォーマンスを披露した。

 ビートが利いたクールな曲調に合わせて唄い、淡々と(見える)ステップを踏む5人。しかしサビの後の間奏で「サンバ!」と掛け声を掛けると、弾けるようにテンションアップ。サンバステップを踏み、観客を煽る。ブラジル人の観客も踊りだす。それに釣られて日本人の観客も総立ちになった。「立って!立って!もっと踊ってクダサイ!」。たどたどしく、カタコト風なMCがなんとも可愛らしい。

 実は、ブラジル色を出すため間奏部分に挿入されたサンバのステップだが、メンバーたちは「時間が短くて踊り足りない」と少々不満なのだとか。「(ブラジル人が多い)太田市でパフォーマンスをした時は全員が踊って、掛け声まで掛けてくれたの。ちょっとしかないけど、サンバの部分は恥ずかしがらないで一緒に踊ってほしいな」と“自称リーダー”のムツミちゃんは語ってくれた。

「太田から来ましたサユリです!」「伊勢崎から来たナオミで~す」「大泉から来ましたムツミで~す!」などと、地元密着型のメンバー紹介のあと、新曲の「愛犬アンソニー」を披露。愛犬に恋の悩みを聞いてもらう、という可愛い歌詞ながら、ジャングル調のビートが利いたダンスチューンだ。母国語であるポルトガル語を交えたコーラスも新鮮だ。「実は、ダンスレッスンを始めるまで誰一人としてできなかった(スタッフ談)」というボックスも奇麗に決まり、会場のムードも最高潮に。

 3曲目はKARAのカバー曲「ジャンピン」。一瞬拍子抜けしたが、実は日本のアイドルの曲はあまり知らず、エミネムやセレーナ・ゴメス、レディー・ガガなど洋楽を聞いて育ったという5人。現在、日本の学校には通ってはいるが、クラスメイト達が口ずさむAKBやももクロより、アメリカの影響を色濃く受けたK-POPほうが体に馴染むのだとも。同時に、オリジナルの2曲とは全く違うリズムのものも踊ってみたいという、メンバーの強い希望でライブの楽曲に加えられたのだとか。

 ライブが終わった後、話を聞く。連日、スキルアップのためのダンスと唄のレッスンに忙しいという5人。「春休みなのに遊ぶヒマがあまりないの」とスタッフに口を尖らせる。普段どこで遊んでいるの? と聞けば、「児童館でトランポリンや卓球してる」と大人っぽいメイクには似つかわしくない答えが。さらに「遊ぶ時間ができたら、東武動物公園にゴリラを見にいきたいの!」と、地元の中学生らしい微笑ましい一面も見せてくれた。

 最後に夢を聞くと「2014年のブラジルワールドカップの会場で唄いたい」と瞳を輝かせる5人。「夢は大きいぐらいがちょうどいいんです!」とキッパリと言う。

 現在、取材やイベント出演のオファーが殺到している「リンダIII世」だが、今のところ群馬を出る予定は一切ないという。気になる向きは、地元にしっかりと根を張り、夢に向けて着実に飛躍する姿をここ群馬の地で見てほしい。 <取材・文・撮影/遠藤修哉(本誌)>

【リンダIII世】
群馬県在住の日系ブラジル人ガールズユニット。双子の姉サユリ、妹のシオリ(以上中3)とナオミ、ムツミ、サクラ(中1)の5人組。4/24にDVDシングル「未来世紀eZ zoo」でデビュー。気になるイベント出演情報はオフィシャルHPで(http://linda3.jp/

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