処分できない“核のゴミ” 19万トン
◆[原発のゴミ]が引き起こす地獄絵図(3)
商用炉では東海発電所が日本初の解体事例だが、試験炉では、やはり東海村にあった、日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)が保有した「JPDR」が既に解体を終了している。
JPDRは出力1万2500キロワットの超小型原子炉。63年から76年まで稼働し、86年から廃炉に着手し96年に完了している。だが、この小型原子炉でも廃炉に230億円がかかり、さらに解体で発生した放射性廃棄物の極低レベルのものは敷地内で50年間埋設するという実験を行っている。そのほかにも2万t以上の固体廃棄物や非放射性廃棄物もいまだに施設内で保管されている。
「つまり処分しきれないということです。核のゴミなんて、どこの自治体も引き受けないので、自分のところで埋めるしかない。でも、東海発電所では非放射性廃棄物も含めて、今後19万tものゴミが出る。どこにも持っていく場所がありません」(相沢議員)
原発解体では、よく知られる高レベル放射性廃棄物のほかに、まだ3種類の廃棄物が出てくる。低レベル放射性廃棄物。クリアランス対象物。そして「放射性廃棄物でない廃棄物」だ。東海発電所では、それぞれ2.3万t、4万t、12.9万tの計19.2万tが発生するのだが、クリアランス対象物とは、放射線値が年0・01ミリシーベルト以下の廃棄物であればリサイクルできる廃棄物をいう。値が低くても、核廃棄物がリサイクルされる。
そのリサイクル品のベンチや椅子などの金属製品が、原電が運営する資料館「東海テラパーク」(東海村)で展示中だ。
「一昨年、東海発電所で解体された燃料取替機など4tが地元の鋳物工場で溶かされリサイクルされたんです。でもこれは、その利用を原電内部に留めるべきですね。金属表面の放射線値が低くても、内部の値はわからない。加工でカットして、値の高い部分が露出するかもしれない。今後は、一昨年の500倍という量の廃棄物がリサイクルされます。おそらく、業界内では使いきれないでしょう。一般社会に出回るのではないか……と危惧しています」(相沢議員)
処分する場所のない“核のゴミ”はどうなるのか?
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