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中国の築5年は日本の築20年に相当!? 中国各地で建築物が倒壊

瀋陽(中国)の街並 4月4日、浙江省奉化市で築20年の5階建てアパートが突然、倒壊。瓦礫の下敷きとなった1人が死亡、数人が怪我をした。  同アパートでは、昨年10月に発生した台風によって壁面が損傷を受けており、住民から修繕を求める要望があったが、放置されていたという(『京華時報』)。  2月には同省金華市でも、結婚式が執り行われていた集会所の屋根が崩落。9人が死亡、約90人が重傷を負っている(『新華網』)。  バブル崩壊が懸念されて久しい中国だが、最近、建築物の物理的な“崩壊”の続発が懸念されている。『南方網』(4月8日付)によると、改革開放以降の’80年代から’90年代に建てられた建築物の多くが、倒壊の危機を迎えているという。中国の建築物の寿命は、たった25~30年しかないということになる。こうした住宅物件は全体の2割以上を占めており、人民は倒壊に怯えながらの生活を強いられている。広州市在住の主婦・宮内照美さん(仮名・38歳)の近所にも倒壊寸前の建物がある。 「よく通る道に、今にも倒れそうなくらい壁や屋根が歪んでいるアパートがある。『倒壊注意』って張り紙がされているのですが、数本のつっかえ棒で壁を支えるという応急処置をしただけで、住人たちは平然と暮らしています」  新築物件でも事故は起きている。広州市の日系工場に勤務する長田幸弘さん(仮名・33歳)の話。 「夜中、突然『ガッシャーン』という大きな音が外から聞こえてきたので飛び出すと、マンションのエントランスにあるアーチ状の門が崩落していました。怪我人がいなかったのが幸いでした。数日前からそのアーチをくぐるとき、コンクリート破片が落ちているなと思っていたんですが、まさか崩落の前兆だったとは。ちなみに築10年の中級マンションなんですが、今後、老朽化でさらなる大惨事も起きかねない……」  中国の建築物の老朽速度の速さについて、深セン市の不動産会社勤務・岡本宏大さん(仮名・27歳)はこう話す。 「中国では建設現場が超縦割り。建築家はとにかく巨大な箱を建造することだけを考え、配管技術者が完成した箱の壁を掘り進めて水道やガス管を配管するというむちゃくちゃが横行しているので、耐久性が低い。さらに管理会社もろくにメンテナンスをやらないし、住人の使い方も日本では考えられないくらい雑。重い荷台を廊下で引きずってタイルが台無しになったり、ドアを蹴破られたりしてもみんな知らん顔ですから……。中国のマンションは、築5年程度の物件で、日本で言えば築20年くらいに相当します」  一方、早老建築物について別の問題点を指摘するのは、中国在住のジャーナリスト・吉井透氏だ。 「中国では、年収100万円台の庶民が平気で30年くらいのローンを組み、1000万円以上する物件を購入している。しかし、不動産バブルの濫造のどさくさで、築20年で住むに堪えない状態になる粗悪物件も多数出回っている。庶民の唯一の財産であり、担保である物件で倒壊が相次げば、不動産評価が根本から覆り、中国でサブプライムショック以上の衝撃が起きる可能性もある」  理財やシャドーバンキングと並びバブル崩壊の第3要因になる? <取材・文/奥窪優木> 週刊SPA!連載 【中華人民毒報】 行くのはコワいけど覗き見したい――驚愕情報を現地から即出し
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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