
さる9月12日(土)、13日(日)の2日間、さいたまスーパーアリーナの15周年を記念して開催された、『肉ロックフェス』。国内最大級の肉イベントとして、すっかり定着した感のある「肉フェス」に、ロックフェスが融合するという初の試みだったわけだが、参加アーティストの中で一際興味を惹いたのが、ダイアモンド✡ユカイ率いる伝説のロックバンド『RED WARRIORS』(通称レッズ)。
活動期間は1986年から1989年までのわずか3年間ながら、バッドボーイズロックを地でいき日本のロックシーンに鮮烈な印象を残したRED WARRIORSは、SPA!世代なら(筆者も含めて)直撃した人も多いはず。解散後も一時的な再結成は何度かしているものの、このたび、肉ロックで5年半ぶりに一夜限りの再結成が決定。いまだ生で観たことのなかった筆者は、ここぞとばかり肉ロックの取材を決意! ……すると、なんとダイアモンド✡ユカイが個別取材に応じてくれるとの嬉しい誤算が!! 2Daysのトリをつとめるライブを直後に控えての囲み取材後に、ユカイ氏に単独インタビュー。
――5年半ぶりの再結成が、なぜ「肉ロックフェス」だったんですか?
「さいたまスーパーアリーナが15周年だし、俺たちメンバー皆、地元が埼玉だからね。そこで何かできるなら本望ってことでね。正直、『肉ロック』ってことは後から知ったんだけど、まあ、いいかと(笑)。肉、大好きだしね」
――肉は元々お好きなんですね。
「うん、肉とうなぎは大好物。俺に言わせれば、日本のステーキはうなぎだから」
――ユカイ語録にくわえたい名言です(笑)。今回は“一夜限り”の再結成とのことですが、今日この会場に来ている人たちに話を聞いたら、レッズとしての単独ツアーを切望する声も多かったです。
「でも、これが続くと大変なんだよ。私生活でもヒールになっちゃうから。今の俺はベビーフェイスじゃない? レッド・ウォーリアーズ始めたら、私生活でも悪いことし出すから家庭崩壊しちゃう。だから、一夜限りがちょうどいいかもしれないね」
――特に80年代後期のロックバンドって、私生活の乱れも含めてロックみたいなとこありましたもんね。
「当時の俺たちは毎日、それこそ、24時間ロックンローラーだったかな。ギラギラしてたし、今思えばよく疲れなかったなって。ツアーが100本ぐらい続いたときも、ライブが終わっても朝まで飲んだりとか、姉ちゃんと悪さしたりとか、もうみんなグシャグシャでやってて。で、朝疲れてるときに、ステーキ食うと血が巡ってくるのがわかって、元気になるんだよね」

「ユカイさんは天性のロックスター! 今の若いミュージシャンはスターとは呼べない! レッズ単独で東名阪あたりでもライブやってください!」(左・クミさん/右・ミエさん)
――(笑)。今日のライブには、直撃世代からレッズを知らない世代まで幅広い層が来てると思うんですけど、ユカイさんはレッド・ウォーリアーズとして何を見せたいですか?
「30年経ってわかったことは、バンドって高校野球みたいなところがあるんだよね。レッド・ウォーリアーズは結局3年でバーンって爆発しちゃったけど、ソロの俺はやっぱり表現方法が違うんだよね。ソロって、割とプロ野球に近いのよ。落ち着いたところもあり、見せるところもあるみたいな。でも、バンドは高校野球のような熱い……こう何度やっても燃えるっていうかさ。そういったところを俺もちょっと大人になったから、楽しもうとは思ってんだけど、高校野球って一生懸命じゃない? バンドも結局、がむしゃらにやんないとできないからさ。だから、一生懸命を楽しむみたいなところなのかな」
――しつこいようですけど、単独ツアーはしないんですか? 今日拾ったファンの声の中には「せめて東名阪でやってほしい。子育てしてると東京まで出ていけない」みたいな声もありまして…。
「ハハハ。ごめんね。だから子育てが終わった頃にガンガンやろうよ。(※ユカイ氏は現在、3人の子育て中)。でも今の俺は『ROLL-B DINOSAUR(ロール・ビー・ダイナソー)』っていう新しいバンドをつくったばっかなんだよね。せっかく新しいバンドをつくった以上は、それをまずガツンとやりたいってのもあるし。レッズはいつだって不滅だからさ」

「今日は長野から来ました。ユカイのブレないところと声が好き! 全部レッズの歌だけでツアーやってほしい!」(左からリオさん、トモコさん、ユリさん)
――なるほど。最後に、家庭や仕事にがんじがらめで、なかなか日頃ロックできないような鬱憤の溜まっているSPA!世代に何かメッセージをいただけますか?
「俺も35~40歳頃って、いちばんキツかったからね。離婚があって、バンド解散があって、マネージャーもいなくなって、ひとりぼっちになっちゃったから。ちょうど40ぐらいのときかな。でも、そういう辛さを楽しんじゃうと、逆に愉快になってくるんだよね。あと、やっぱり30、40ってさ、過去を振り返っちゃったりすんだよ、男は。だけど過去振り返っても、そこにはなんにもないんだよ。だから、例え禿げてようが、ブヨブヨだろうが、今の自分をもう1回鏡に映して、いちばん輝ける今の自分を目指すほうが楽しいぜと。これは俺自身もそうで、常に『今の自分がいちばん輝く』ってことが大切なんだ。過去が輝いてても今の自分が輝いてなかったら、つまんないからね」

こちら20代のふたり組は、元KAT-TUNの田中聖率いるロックバンド「INKT」目当てでの来場でした。
この取材の1時間後、レッズはLINDBERGの後を受けてステージに登場。ユカイ氏は、全盛時と変わらないキレのある動きと存在感で「CASINO DRIVE」や「ルシアン・ヒルの上で」「バラとワイン」などヒットナンバーを惜しみなく連発。最後はアンコールにまで応えて、予定より30分オーバーの1時間半のステージを披露。アンコール曲を歌い終えて「ロックンロールは死なねえぞ」とつぶやいたユカイ氏は、間違いなく「輝いていた」のでした。

左からベースKIYOSHI(小川清史)、ユカイ、ギターSHAKE(木暮武彦)。オリメンにして全員埼玉にゆかりのある3人が集結。
〈取材・文/青柳直弥(清談社) 撮影/丸山剛史〉