“中高年シャブ中”になるきっかけは、若い頃の覚醒剤体験
「清原和博シャブで逮捕」の報は、イイ年こいた男が子供のおもちゃで遊ぶ情けなさがにじみ出ていた。だが、薬物専門家たちの話を聞くと、どうも今どきの覚醒剤は、若者の娯楽アイテムではなくなっているらしい。
現在問題となっている中高年の“シャブ中”が青春を謳歌していた20年前は、覚醒剤が比較的入手しやすい環境があり、クスリと言えば覚醒剤のことだった。
「俺がハタチの頃は、友達と飲んでいて、『おまえシャブないの? じゃあ買いに行こうぜ』くらいのノリ。渋谷センター街や新宿の大久保公園にイラン人の売人が立っていて『チョコ(大麻樹脂)? エス(覚醒剤)? ナンデモアルヨ』とフランクに声をかけてきたもんだ」(薬物販売をシノギにする埼玉県内の暴力団構成員(43歳))
まるで無法地帯の様相だが、この“牧歌的”な薬物売買の風景は、’03年前後に一変する。渋谷での囮捜査など大規模な掃討作戦が展開された結果、繁華街での直接売買から、客の自宅近くまで売人がデリバリーするスタイルに移行していった。
薬物事件に詳しい弁護士の小森榮氏によれば、当時好奇心旺盛な若者として覚醒剤に触れた経験を持つ人たちが、長い未使用期間を経たのち、中高年になって再び手を出すケースが最近は目立つという。
「刑事罰を含め、これだけ社会的制裁が重い状況ですし、未経験者は少し摂取しただけでも即座に錯乱するようなイメージを持っていますから、中高年になって初めて覚醒剤に手を出す人は少ない。ですが、若い頃に使用している人であれば、自分にとっての適量を知っています。ちょっとくらいなら大丈夫だと、昔を思い出して再び足を踏み出してしまうのです」
若い頃の覚醒剤体験が手を出すきっかけに
1
2
『もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術』 GENJIN刑事弁護シリーズ15 |
この特集の前回記事
ハッシュタグ