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イラクに辛勝したサッカー日本代表。オーストラリア戦に向けて残った最重要課題とは?

空中戦で不利だからこそ求められる、選手間の密な連携

 CKやサイドからのFKなどにおけるGKのハイボールの処理は、前に出てキャッチするのがベストだ。それが難しければパンチングでできる限り遠くに弾き飛ばすのがベターなプレーだが、「先に触れない」もしくは「触れるが遠くに弾けない可能性がある」場合は、ゴールライン付近に残っていち早く対シュートの準備をするのが重要だ。この日の西川のハイボールに対する判断は、試合後に本人も「(前に)出る・出ないの判断はしっかりできたと思う」と振り返った通り、どれも的確で素早いものだった。 西川周作「事前のスカウティング通り、相手のセットプレーでは速くて鋭い、GKが前に出づらいボールが入ってきていたので、迷って中途半端になるくらいだったらステイするようにしていました。前に出たときもしっかりボールにアプローチできたかなと思います」  相手のハイボールが入った際、GKから味方DFへは①自分で出て対応するのか、それとも②GKは残って対シュートの準備をし、DFに競らせるのかを伝える指示が出る。ディフェンス時の守備の声はGKからDFに出されるのが基本だが、GKがファーへのボールに自分で出て対応する場面では、逆にDF陣からの声かけが重要だ。例えば、自陣左サイドから上がったファーへのハイボールにはGKは右にステップしながら対応することになる。この時、GKは左から飛んでくるボールを見たままステップしなければならないため、走り出した先(自分の右側)は完全な死角となる。そこに①相手選手がいるのか、それとも②GKがフリーの状態でキャッチできるのかを、DFがGKに伝えなければならない。 西川「ファーのボールに対しては、今日は味方がしっかり声をかけてくれていました。後半も『フリー!』と声をかけてもらったことでパンチングせずにキャッチできた場面があったので、そこの連携は継続していきたいです」  この日の後半、ハイボールをキャッチした西川から左サイドに開いた原口に素早く展開し、そこから原口が約70mを持ち上がり左足でクロスを供給した場面があった。攻撃が停滞気味の現在の日本代表において、展開力に長ける西川から原口を走らせるカウンターは、相手ゴールへの数少ない突破口と言える。西川がハイボールをキャッチできる場面が増えれば、自ずとそのチャンスも増えるはずだ。  次節の対オーストラリア戦、身長185cmを誇る右SBの酒井宏樹は累積警告により出場停止だ。ただでさえ高さで分が悪い日本にとってはかなりの痛手だが、だからこそなおさら、わずかな判断ミスや連携ミスが命取りとなる。相手のセットプレーに対していかに集中力を高めて対応できるかが、次節の大きなポイントとなることは間違いない。活動期間が限られている日本代表はセットプレーの確認にほとんど時間を割けていないのが現状だが、オーストラリアに渡ってからのトレーニングでは、相手のセットプレー対策が必ず組み込まれるはずだ。  勝たなければならない、最低でも引き分け以上が求められるアウェイでの大一番。現在の日本代表の状態を見る限り、難しい試合になるのは間違いない。悲観的な戦況予想が大勢を占めているが、日本がその予想を良い意味で裏切ってくれることを願ってやまない。 <取材・文/福田 悠 撮影/難波雄史>
フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、東京都フットサルリーグ1部DREAM futsal parkでゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129
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