「予備自衛官」って知ってる? 災害派遣招集に応じても報われない現状
災害招集時にも予備自衛官の手当は一律1日いくらの手当てかを事前に決めておき、ある一定の金額を常にプールして、招集への参加に応じた自衛官の仕事が終わったら、日数×手当額で翌月に支払えばいいのでしょうが、「イザ」というときにすぐ使えるようなお金のプールは自衛隊にはないようです。もしこれが有事だったら……? 招集した予備自衛官たちに支払われるべき給与の計算がいつ始まるのかわからないというのでは、まともに部隊が機能することができるのか不安です。
防衛省のホームページ上の予備自衛官の処遇等のページでは訓練や教育招集手当は大きな文字で例えば「即応自衛官の訓練招集手当は14,200円~10,400円/日」というふうに個別に明記されています。訓練や教育で支払う日当はかなり高額に設定されていますが、本番の招集に応じた場合は各々の経歴により増減はするもののおおむね通常の訓練手当の6割強程度に激減します。その災害派遣や有事の招集時の手当が激変することについては処遇の欄ではなく、欄外に防衛招集等により自衛官となった場合は、自衛官の給料が支給されますと書かれているだけ、この言葉が本番時の処遇説明なのです。それ以上にきちんとした給与金額と支払い時期の説明は予備自衛官について防衛省が説明しているページのどこにもないのです。
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot
また、災害派遣で美談扱いされている「被災者には温かいご飯を出す自衛官が、トラックの幌のなかで冷たい缶飯を食べている」という話も、実際は「燃料代は被災者用に使うことになっており、自衛官のために缶を温めるような燃料代はない」というのが本音のようです。
これって、予算がないから、そういう決まりだから、で済む話なのでしょうか。気高い意志を持って真面目に働いた人が報われず、そのために組織の機能が低下するとしたら? それでもなお「清貧」をよしとするのでしょうか。私にはどうにも理解しがたい話なのです。<文/小笠原理恵>
『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』 日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる…… |
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