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「ここは恋愛もSEXも禁止」――46歳のバツイチおじさんはヨガの総本山で煩悩とさらに戦い続けた〈第39話〉

アシュラムに戻ると、るりちゃんがヨガ哲学の授業を相変わらず真剣に聞いていた。 俺はさりげなくるりちゃんの隣に座り、一緒に授業を受けた。 るり「どこ行ってたんです?」 俺「フランス人に誘われて、下の湖で泳いでた」 るり「えーー、あの湖、大っきなワニが出るんですよ」 俺「うん、さっき知ってびっくりした」 るり「ごっつさん、バカですね~」 るりちゃんはクスクスと笑った。 「やっぱ、可愛いな~」 また俺の顔がポッと赤くなった。

日本人ヨガ美女、るりちゃんの笑顔

るりちゃんとサワ、どちらも素敵すぎる美女だ。 二人とも性格も顔も申し分ない。 だが、アシュラムを出るまでに、俺はどちらかを選ばなきゃならない。 そんなことできるのか? いや待てよ。 俺が選ぶ前に、向こうサイドがどちらも俺を選ばない可能性もあるのか……。 しかし、ここはヨガ・アシュラム。 心を沈めて無心になるため瞑想をする場所であり、 ヨガを通じて煩悩を取り除き、心身を整える修行の場だ。 恋愛は禁止。 セックスも当然禁止。 規約にもそう明記されている。 だが、俺の心はいま、100%「恋」という煩悩に犯されていた。 その後、夜ヨガのクラスに出た。 俺はまだ基礎クラス。上級者クラスに通うるりちゃんもサワもいない。 一気に情けなくなった。 「アシュラムにいるのにヨガが下手のままではダサい。うまくなって上級者クラスに行こう!」 それから毎日真剣にヨガに打ち込んだ。朝5時30分から始まる瞑想から夜22時までびっちりと詰まったスケジュールをとにかくこなした。 汗をかけば自ずと何かその答えが見えてくるはず。そう信じ、頑張った。 バルカラビーチでのヨガを加えると、ヨガ開始からすでに25日が過ぎていた。あれから1日も休んでいない。気温は40度近い猛暑。俺の体力は日に日に消耗していった。

連日40度近い暑さでぐったりするアシュラムのペット、シャンティ

「あれ、体がおかしい……。すぐに足がつってしまう」 ここにきて、体が完全に悲鳴をあげ始めていた。 すると、短期でアシュラムに来ていた日本人の義郎くんという若いイケメンがアドバイスをくれた。 義郎「ごっつさん、それマッサージしたほうがいいですね」 俺「うん。そうなんだけど、アシュラムでマッサージなんかするとこないでしょ」 義郎「俺、アーユルベーダの勉強していて、近くに教えてくれてた学校があるんですよ。行きます?」 俺「え、まじ? 足がつるの治るんだったらどこでも行く」

何度も何度もつってしまう46歳バツイチおじさんの足の指

それから、義郎くんに連れられアシュラムから30分ほど歩いて森の中の一軒家に行った。 家の周りは森で覆われていて、まるで秘密の館のようだ。 義郎「こんにちわー、先生ー」 すると、入り口に隣接した一室から二人の白人美女が出てきた。二人ともノーブラでタンクトップだ。 白人美女「先生は今外出中だよ。あ、ハーイ! 義郎、帰ってきたの?」 白人美女は義郎くんにハグをした。 義郎「いや、マッサージしたい日本の友達を連れてきたんだ」 白人美女「ハーイ」 今度は俺にハグした。 彼女の硬い乳首が胸に当たった。 なんなんだ、ここは……。 話を聞くと彼女たちはイタリア人で、アーユルベーダを住み込みで勉強していて、今はパンチャカルマをしている最中とのこと。パンチャカルマとはアーユルベーダの治療法のひとつで、数日間のオイルマッサージの後、下剤や浣腸などの方法で体の代謝をじっくりと時間をかけて正常にしていく治療法だ。 白人美女「レバノン人のジョアナが二階にいるから、彼女なら今マッサージできるかも、いなかったら私に声かけて~」 義郎くんはジョアナの部屋をノックした。すると、中からやはりタンクトップでノーブラのめちゃくちゃ綺麗な白人美女が出てきた。 彼女は何も喋らず義郎くんに激しくハグをした。それからゼスチャーで義郎くんと話をした。 ジョアナはヴィパサナ瞑想の修行中で、一ヶ月間しゃべることを禁じられてるらしい。 「こんな美女がアーユルベーダのマッサージをしてくれるんだったらここは天国だ!」 俺はジョアナに招かれ3階のベッドルーム寝転ぶ。オイルマッサージをするので全裸になるように命じられた。 やばい。 これはやばい。 いま、あんな美女にオイルマッサージなんかされたら間違いなく勃起してしまう。 こちとら、煩悩ご法度のアシュラムおじさん。 部屋も相部屋で1Pすらできないストイックな46歳日本代表だ。 正直、少しの興奮で勃起する自信がある。 風が吹いても勃つかもしれない。 でも、ここで勃起は絶対にダメだ。 全裸だと隠すこともできない。 ふー。 なんとかしないと。 やばいやばい。 そうだ! 俺は中学2年の授業中の時にやったアレをしよう。 エロいことと真逆の気持ち悪いものを想像するのだ。 俺はおっさんのモジャモジャなもみあげを想像することにした。 インドではよく見かける、男くさいジョリジョリしたあの感じをイメージして、己の邪念を打ち消そうとした。 数分後、ガサッという音がした。 いよいよ来た。 美女のアーユルベーダオイルマッサージの開始だ! 俺は期待と股間を膨らませすぎないよう、うつ伏せになった。 そして、そーっと後ろを振り向いた。 「えっっっ!!!」 俺の前にはゴリラのような体型のインド人のおっさんが立っていた。 よく見ると、もみあげはモジャモジャだ。 「もっ、もみあげ、ジョリジョリ!!!」 それは、俺が勃起を抑えるために想像していたインド人のもみあげと瓜二つだった。 俺の勃起は即座に収まり、モジャモジャおっさんによるゴリゴリマッサージを受けるはめになった。 ちなみにこのおじさん、ここのアーユルベーダ学校で一番偉い先生らしい。 「まぁ人生、そんなもんだよな」 マッサージが終わると足の張りは見事になくなっていた。さすがはアーユルベーダ。 洋服を着て、カーテン一枚の隣でマッサージを受けている義郎くんの様子を見に行った。 俺「義郎くん、終わったー?」 すると……。 義郎くんはマッサージを受けているのではなく、全裸のジョアナをオイルマッサージしていた。 初めて白昼で見た美人白人の全裸。 しかもスタイル抜群。 そしてオイルまみれ。 気づくと俺の股間は熱くなり始めていた。 やばいやばい! 俺は改めてジョリジョリもみあげおじさんの姿を探すため、即座に部屋を出た。 しかし、ほんの3秒ぐらいだったが、この世のものとは思えない美しいものを拝見させて頂いたのだった。
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それから数日間、煩悩はまるで消えなかった
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1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
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