ライフ

「俺、もしかして間違った場所に来ちゃった?」――46歳のバツイチおじさんはヨガの総本山で途方に暮れた〈第37話〉

突然、嫁さんにフラれて独身になったTVディレクター。御年、46歳。英語もロクにしゃべれない彼が選んだ道は、新たな花嫁を探す世界一周旅行だった――。当サイトにて、2015年から約4年にわたり人気連載として大いに注目を集めた「英語力ゼロのバツいちおじさんが挑む世界一周花嫁探しの旅」がこの度、単行本化される。本連載では描き切れなかった結末まで、余すことなく一冊にまとめたという。その偉業を祝し、連載第1回目からの全文再配信を決定。第1回からプレイバックする!  *  *  * 46歳のバツイチおじさんによるノンフィクション巨編「世界一周花嫁探しの旅」、今回の滞在地も7か国目インドです。前回、ヨガ美女のるりちゃんから「一緒にヨガのアシュラム(修行場)に行きませんか?」と唐突に誘われたバツイチおじさん。そんな甘い誘い文句に乗り、ヨガの総本山へと道場破りに行く決意をしたようですが……。今回も期待を裏切らないズンドコ展開満載です! 「この子を連れて帰るなら、俺たち全員分のお金をお前が払えよ」――46歳のバツイチおじさんはアラブの荒くれ者に難癖をつけられた英語力ゼロの46歳バツイチおじさんが挑む「世界一周 花嫁探しの旅」【第37話 恋のアシュラム】 南インドで最も美しいバルカラビーチ。チリ人美女ガルシアと月夜に全裸で泳ぐも、ヒッピー野郎との三角関係の果てにあっさりフられてしまう。失意のどん底で出会ったのはヨガ美女、ヨギーニのるりちゃん。彼女を見たとき、なぜか30年前の初恋を思い出した。そして、彼女を追いかけシヴァナンダ・ヨガの総本山の一つであるアシュラム(修行場)に入門することを決意した。30年前と同様、俺は恋の予感をビンビン感じていた。 自分のヨガ技術を高めるため、シヴァナンダ・アシュラムへ先に向かったるりちゃん。彼女に誘われアシュラムに行くことを決意した俺は、鼻歌交じりに荷物をパッキングし、るりちゃんを追いかける準備を整えた。忘れ物がないかチェックし、部屋を出ようとしたそのとき、洗面所にある鏡で自分の顔を見て驚いた。 「あれ? ……誰だこのおっさん?」 ここ何日もギリギリの体力でヨガに没頭していたため、鏡をまったく見ていなかった。 久々に鏡を見ると、そこには白髪のくたびれたおじさんがいた。 宮崎駿と間違われても否定できないほど、頑固そうな白髪おじさんが鏡に映っていた。 「まただ。気を抜くとすぐに駿化してしまう。髪の毛を染めて若返らないと!」 ヨガ美女のるりちゃんは27歳。一緒にいるところを客観的に見ると、独身最後の親孝行旅行に来たお父さんと娘に姿にしか見えない。 それはまずい。断じてまずい。 俺はお父さんにではなく旦那さんになりたいんだ。 俺は慌てて床屋に飛び込んだ。 俺「南インドで一番イケてるハンサムスタイルにしてください。髪の毛はブラックに染めてね。ブラックよ」 店主「オッケー。インド人の流行りの髪型にしてあげる」 店内を見回すと元全日本バレーボール選手の川合俊一をゲイにしたようなカットモデルの写真が飾られている。 旅人としての本能が、即座に嫌な予感をキャッチした。

南インドのローカルの床屋。飾られた写真がとても気になって落ち着かない。左上の写真の髪型になったら最悪だ

俺「この人の髪型はダメですよ。これは日本のオールドスタイルのバレーボール選手の髪型なんで。南インドでモテる若者のヘアスタイルでお願いね。オールドじゃないよ。ヤングね、ヤング」 店主「オッケーオッケー。大丈夫」

宮崎駿似の髪型からの脱却を試みるバツイチおじさん

旅を始めてからすべての国でローカルの床屋に行き、現地のモテる髪型にしてもらってきた。しかし、長く旅を続けていると、日本人としての感覚が少し麻痺してきた自分もいる。もはや、どんな感じが今の日本の20代女性にウケるのかさっぱりわからない。まぁ、日本にいても20代女性にウケる髪型なんて皆目見当つかないのだが。 店主「オッケー、フィニッシュ」 俺「……これ、インドのハンサムスタイル?」 店主「そうだ。インドでは横をかりあげ、頭部を残すのが流行ってるんだよ」 俺「……ソフトモヒカン」 店主「髪の毛を黒く染めたら20歳若く見えるようになった。かっこいいよ、日本人!」 世界に共通する事実。 それは「ソフトモヒカンが流行っている」ということ。 しかし今回の髪型は、どちらかと言うと70年代に流行し、パンチパーマを前に流すことで一世風靡した『清水健太郎カット』に似ている……。 「俺、もしかして間違った場所に来ちゃった?」――46歳のバツイチおじさんはヨガの総本山で路頭に迷った

清水健太郎カットになったバツイチおじさん

贅沢は言わない。 髪の毛を黒く染めると若く見える。 若く見えればそれでいい。 これでお父さんとは思われない。 るりちゃんといても、センチメンタルな親孝行旅行感は皆無だ。 俺は200ルピー(320円)を払い、46歳より20歳若い26歳当時のルックスを手に入れた。
次のページ right-delta
「よし、そろそろアシュラムに向かうか!」
1
2
3
4
テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート