更新日:2022年08月31日 00:20
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抗争劇は最終局面へ…六代目山口組から見た“造反2組織”の内部事情

ヤクザという伝統文化を破壊する男

 敵の敵は味方――という論法で、六代目山口組と任侠団体山口組の再接近を指摘する観測も見られる。だが、前出のX氏は「神戸も任侠も、現時点ではどちらも同じ敵でしかない」と一刀両断する。 「六代目山口組から言わせれば、神戸も任侠もケジメをつけない限りは、造反者の集まりでしかありません。ただし、その中でも織田というのはね、ちょっと違う。織田をして“原理原則主義者”と評するジャーナリストがいたが、あれのどこがヤクザの原理原則を守っているのか? 聞きたいね。親の悪口は言う。都合のいいことばかり言って、雲行きが怪しくなると責任はとらない。気にするのは、外からの見え方ばかりじゃないですか。  滋賀の件、奥州同志会の件、本江組の件、九州で加入した兄弟の件。内情を知ってる人なら、とっくにわかっている話ですが、織田がやっているのは、実態のない組織を作ってアピールすることだけ。この先、掲げるビジョンは民間の軍事会社ですか? 織田は日本語しかしゃべれないし、パスポート持っている人間が何人いるのか(苦笑)。そんなこと、堅気になってやればいいじゃないか。これでは、信じてついて行った下の者が可哀そうです。織田が長期服役で不在時、バイトで食いつないで帰りを待っていた骨のある側近もいるそうですから。任侠団体山口組の構成員と話す機会もありますが、当然のことながらグラグラしてますよ。  織田は井上(邦雄・神戸山口組組長)を批判するにあたって『進言・諫言を聞かない』と言っています。これは、自身が今、まさにそうなのではないか。下の人間のために、と言うのなら、織田は腹を括り、ケジメをつけて、下の者のことを本気で考えてやったらどうなんだと言いたい」  憤るX氏は、織田代表よりも若い世代にあたる。その胸中には、筋や盃といったヤクザの伝統文化をないがしろにする行為への怒りが滲む。 「江戸時代に遡ると、ヤクザというのは寺に捨てられた子を親分が拾って姐さんと育てて一人前にし、刺青を入れて街の火消しとして活躍する居場所を作った。中には十手を預かり、治安維持に一役買った者もいます。“必要悪”などと言うつもりはないが、生まれながらに道を外れた者、社会に適応できずはみ出した者のセーフティーネットとして、機能してきた面はあると思います。そして、その源はなにかと言われれば、血よりも濃い盃です。こうした大原則とも言えるルールを守れない人間が、何を守れるというのか。国を、大切な若い者を守れるのか。これ以上、山口組の名を汚してほしくない」  3つに割れた山口組の分裂抗争は、X氏が言うように最終局面に入り、今こそ原理原則(プリンシプル)へと回帰していくのか、それとも――。 取材・文/日刊SPA!取材班
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