組織を辞めた“ダメ”ヤクザのその後…カタギになるも「チンピラはチンピラにしかなれない」
「チンピラの面倒はヤクザしか見れん。これは“臭いものにフタ”に過ぎんでしょう」
こうため息を漏らすのは、福岡県にある某指定暴力団二次団体の幹部・X氏。福岡県といえば、公安委員会が指定する「指定暴力団」の数が最多であり、全国で唯一「特定危険指定暴力団」に指定された工藤會(北九州市)を擁する、まさに“修羅の国”である。当然、福岡県警もそんな現状を黙って見過ごすはずもなく、全国に先駆けて暴力団員の脱退を促す取り組みを始めた。先輩暴力団員からの報復防止や新たな就職先の斡旋を警察が行うという、一見画期的な取り組みにも見えるが……。
昨年までX氏の舎弟だった中野氏(仮名・29歳)は、大分県内の高校を中退後、ガソリンスタンドのアルバイトを続けていたが、先輩の手伝いとして「偽ブランド品販売」や「パチンコの打ち子」といった違法行為に手を染め始めると、気がついたときには暴力団構成員になっていた。
「何でもやりますって挨拶しに来たが、とにかく頭の悪かガキやったね。気遣いもなか、度胸もなか、免許もなかし、何させてもちっとも続かん。世間の皆さんは“何も出来んバカが暴力団になる”って思うとらすでしょう? 違うとです。本物のバカにヤクザは出来んとですよ」
X氏はそんな中野氏でも、突き放すことなく面倒を見続けたが、中野氏がある事件で逮捕された時は、本気で縁切りを考えたのだという。
「レキ(逮捕歴)はヤクザの勲章なんて言われますけどね、最初は女を殴って捕まった。こりゃどうにもならんポンコツ男やな、って諦めかけよった時に、ヤクザ語ってカタギを脅したり、詐欺で使う道具(電話や通帳)の売買でも逮捕された。パクられる理由がとにかくツマらん。『ヤクザならもっとマシな理由でガラ取られてみろ!』って説教までしましたけど、情けなくて」
中野氏が数年の懲役を経てシャバに出てきたのは昨年の春頃。行き場のない中野氏は結局X氏に土下座をして、組事務所に住み込む形で、便所掃除などの雑務を担う“暴力団一年生”としての生活を始めた。だが、数週間後に突如姿をくらませたかと思うと、程なくして福岡県警から連絡があったのだという。
「中野が『組を辞めたい、ヤクザから足を洗いたい』言うてお巡りに泣きついたらしかです。さすがにこっちも頭に来て『勝手にせろ!』って。呆れるしかなかったですよ」

福岡県、組織を辞めたダメヤクザのその後とは…
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