雑学

安室奈美恵が生んだ90年代の“アムラー”ブームとは何だったのか? ギャル誌編集者が回想する

 安室奈美恵が2018年9月16日に引退する。自分には、安室ロスの生活というものが、見当つかない……。筆者は、かつて渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』で編集者をしていた。恥の多い生涯を送ってきましたが、そんな自分にも声を大にして言えることがあります。「自分は安室奈美恵のファンである」と。思えば、まだ私が自衛隊にいた時分(90年代)、好んで飲む炭酸飲料といえばダイドーのミスティオばかり。だって愛しの安室ちゃんが「飲んでミスティオ」ってCMで言ってたんだもん。そりゃ、メインで飲まざるをえないやろ、と。

 さて、今回はそんな安室奈美恵が生み出した“アムラー”ブームとはなんだったのか。当時、渋谷の街にはアムラーが溢れていた。この機会に振り返ってみたい。

アムラー

かつてアムラーで埋め尽くされた渋谷の街

安室奈美恵が生み出したアムラーブームとは?


 当コラムの主題は「ファッションリーダーとしての安室奈美恵」。ここで告白させていただくと、私は大のギャル好きである。それも今時分の洗練されたギャルではなく多少に野暮ったさを残した、いわゆる90年代のコギャル世代。太い足をルーズソックスで少しでも細く見せようという涙ぐましい乙女心と、その努力に関わらずグフやゲルググにしか見えない非情な現実に、えもいわれぬ「わび・さび」を感じる性分なのである。

 さて、ここで改めて安室ちゃんの功績について振り返りたい。158cmと平均的な身長ながら、驚異的な小顔とスタイルの良さで全国の女性の憧れとなった彼女。そのファッションのみならず、TRFのダンサーSAMとの電撃結婚などの生き様も含めて『カッコイイ女性像』として認知されていた。厚底ブーツミニスカートがファッション・アイコンとして持て囃されたのもこの頃。

『SPA!』(’96年8/14・21号)の特集記事「ナマ足女に美脚はいない」より。女子高生のファッションは20年前の当時、社会現象の一つだった

厚底ブーツで日々熟成されたコギャルの足は臭かった


 身長を底上げすることで脚の長さを際立たせる厚底ブーツは、15cm前後の厚いソールが特徴。中には20cm超えの厚底ブーツを履きこなす猛者もいた。シークレットブーツのようなものながら、手に持つと『こん棒』を思わせるズッシリとした重量感で、武器としても使えそうなアイテムだった。

 学校以外でも普段の格好は制服&ルーズソックス、そして休日は厚底ブーツで日々熟成されていたコギャルの足は、それはそれは臭かったと記憶している。ブーツだけに、秋冬だけのブームかと思いきや、夏には厚底サンダルや厚底スニーカーなど、ジャンルレスで厚底がブームになるなど、アパレル業界を巻き込んでの一大狂想曲を奏でることになったのだ。

アムラー

超絶ミニスカでセンター街はパンチラ祭り


 脚元のオシャレは基本だけど、さらにスカートでも「らしさ」を見せるのが、アムラー系コギャルの真骨頂。膝上どころか股下で表した方が早いくらいの超絶短いスカートは、普通に歩いていてもケツに近い太ももの付け根が絶えず視界をジャックしていた。いわんや、少しの風のいたずらでもそのたびにパンチラ祭り。いや、むしろコギャルたちはパンツを見せることに命をかけているんじゃないかってくらい、これみよがしにパンモロを披露していたのだ。当時のセンター街では、路上に座り込んでプリクラの分配をしながらパンツを全開で見せているコギャルを、それこそ至る所で目にしていた時代、まさに男にとっては黄金時代であった。

 その数年後、白髪+白リップ、黒人を思わせるほどの黒い肌のアダモちゃん系メイク、いわゆるガングロブームが来ることで、世の男性にとっては一気に暗黒時代に突入するなどとは、当時の僕も予想してなかったけど(笑)。

アムラー

女子高生の間では、ミニスカにルーズソックスが流行った

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「真似しやすさ」で大ブレイク

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