更新日:2022年10月29日 01:06
エンタメ

アニソンメタルに流れるLAZYの血脈――影山ヒロノブ、LOUDNESS、ランティス【山野車輪】

特撮ドラマに使用されたジャパメタ

 洋楽シーンでは、ハードロックが1970年代に全盛期を謳歌し、日本にもいくつかのハードロック・バンドが誕生した。そして、有力な国産ハードロック・バンドは、特撮TVドラマの主題歌にも起用された。  1980年に放送された特撮TVドラマ『ぼくら野球探偵団』の主題歌は、プログレッシヴハードロック・バンドNOVELAの「マジカル・アクション!!」だった。この曲は、NOVELAの前身バンドの1つである山水館時代からの楽曲で、のちのACTION!の「ACTION! 100,000VOLT」に転生している。ちなみにこのドラマの15話には、NOVELAのメンバーがゲスト出演している。  その半年後にTV放送された永井豪原作の特撮人形劇『Xボンバー』(1980年)も、ハードロック・バンドBOWWOWによるものだ。BOWWOW はのちにVOWWOWに改名、世界規模の活動を行った。

アニソンメタル界伝説のバンドLAZY

 1983年放送のTVアニメ『サイコアーマー ゴーバリアン』(これも原作に永井豪が名を連ねている)の主題歌は、ネバーランドというバンドが唄っている。ネバーランドは元LAZYの井上俊次(ポッキー)<key>と田中宏幸(ファニー)<b>らによって結成されたバンドである。彼らは、OVA(オリジナルビデオアニメ)・TVアニメ『宇宙伝説ユリシーズ31』(1986年)の主題歌も任されている。  これまでの連載でも度々登場したLAZYについて、ここで説明しておきたい。LAZYは1977年にデビューしたロックバンドだが、結成メンバーはその後の経歴を見れば分かるように、まさに奇跡のメンバーである。 ◆ヴォーカル:Michell(ミッシェル/影山ヒロノブ)⇒現JAM Projectリーダー ◆ギター:Suzy(スージー/高崎晃)⇒現LOUDNESS ◆ベース:Funny(ファニー/田中宏幸)⇒ネバーランド他(2006年逝去) ◆キーボード:Pocky(ポッキー/井上俊次)⇒ネバーランド他、現ランティス代表 ◆ドラムス:Davy(デイビー/樋口宗孝)⇒LOUDNESS(2008年逝去)  LAZYは当初、アイドル・バンドとして活動させられていたが、1980年に「ヘヴィー・メタル宣言」を行ない、彼らのラスト・アルバム『宇宙船地球号』(1980年12月リリース)を発表。『宇宙船地球号』は、日本最初のヘヴィメタル・アルバムだった。良いアルバムではあったが、音楽的方向性の相違の問題が表面化し、バンドは解散を余儀なくされた。  LAZYの解散後、メンバーは、前述のネバーランドと、高崎(スージー)<g>と樋口(デイビー)<ds>のLOUDNESS、ソロデビューした影山(ミッシェル)<vo>の3つに分かれ、彼らはそれぞれの道を歩んだ。
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アニソンメタルに今も流れるLAZYの血脈
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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