「老人ホームランキング」があてにならないワケ
雑誌やネットニュースなどでよく目にする「老人ホーム&高齢者住宅ランキング」。自身の老後のためばかりではなく、少しずつ介護が必要になってきた両親のために安心で快適な住まいを探すための手がかりとして、これらのランキングを頼る40代、50代も少なくないだろう。
こうしたランキング形式の記事の多くは、事業者アンケートをもとに作成されている。一見すると信ぴょう性が高く、平等性があるように思えるが、自身でも社会福祉士や介護支援専門員といった資格を持ち、高齢者住宅の現場を知る経営コンサルタントの濱田孝一氏は、「ランキングには意味がない」とバッサリと切り捨てる。
「事業者へのアンケートでは、老人ホームや高齢者住宅の良し悪しは見えてきません。その理由はふたつあります。ひとつは、高額な老人ホームや高齢者住宅ほど上位に来やすいこと。もうひとつは、アンケートの中身や内容について、第三者によるチェックが甘いことです」
高額な老人ホームや高齢者住宅ほど上位に来やすいというのは、どういうことか。濱田氏は『ミシュランガイド』で考えてみるとわかりやすいと指摘する。
「ミシュランガイドにあるような『一度は行ってみたいお店』は、庶民が気軽には行けないような高級店が並びます。『ボーナスが出たら行ってみよう』と思える飲食店ならまだしも、毎日利用する(暮らす)ことになる老人ホームや高齢者住宅では、同じ理屈は通用しません。特に“総合ランキング”に言えることですが、介護事業などの日常生活に関わるものは、金額やシステムが異なるものを比べてはいけないのです。ただし、介護システムや金額の違いが整理してあるランキングであるのならば、情報として利用価値がないわけではないのですが……」
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