更新日:2022年12月17日 22:45
エンタメ

ジャパニーズ・メタル入門者にオススメ! オムニバス・アルバムをたどればメタルの歴史が見えてくる

ジャパメタがトリビュートされるようになった2000年代

 90年代に作られたトリビュート・アルバムやカヴァー・アルバムは、洋楽メタルを元ネタとしていた。ところがゼロ年代以降には、複数のジャパメタを元ネタとしたトリビュート・アルバムが制作されている。  国産メタル・バンドの楽曲をカヴァーしたアルバム『Japanese Heavy Metal Tribute 魂(スピリット)』(2000年)と同パートII(2002年)、『REACTION Tribute Album Always On My Mind』(2001年)、『DEAD END Tribute -SONG OF LUNATICS』(2013年)、『D’ERLANGER TRIBUTE ALBUM~Stairway to Heaven~』(2017年)などがその代表例だ。そういえば、GASTUNKやhideのトリビュート・アルバムも早々と作られていた。  これらの企画盤の参加プレーヤーは、当初は80年代国産メタルのミュージシャンだったが、次第にV系に属するミュージシャンが多くなっていった。彼らの場合、音楽的ルーツは洋楽メタルではなく、80年代国産メタルであることが垣間見える。日本のヘヴィメタル・シーンは、長い時間を掛けて、舶来品から国産品へと移行していったと言える。  とは言え、アニソン系女性ヴォーカルが洋楽メタルをカヴァーした『究極の重金属トリビュート・アルバムVol.1』(2011年)のような、極端なコンセプトのアルバムも存在する。同作は、後で紹介する嬢メタルの文脈にも則している。

ジャパメタのオムニバス・アルバムのブーム到来

ゼロ年代以降にリリースされたオムニバス・アルバムおよびトリビュート・アルバム(筆者撮影)

 ゼロ年代には、ジャパメタのオムニバス・アルバムのブームが起こった。80年代のジャパメタ華やかし頃のバンドを集めた『METAL VIBES』(2002年)、『LEGENDS OF JAPANESE HEAVY METAL 80’s』(2003年)、『80’s J-ROCK Collection GYUWEEN!』(2006年)などの企画盤がリリースされた。  また、若手バンドを集めた企画盤も数多くリリースされている。『THE RED HOT BURNING HELL』(2000年)、『METAL JIHAD Vol.1 -Indies Metal Compilation-』(2003年)、『SAMURAI METAL Vol.1』(2005年)、『SECOND WAVE Vol.1』(2006年)などがジャパメタラーに知られている。『THE RED HOT BURNING HELL』シリーズは20作をゆうに超えているが、いったいどこまで続いたのだろうか……?
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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