更新日:2022年12月17日 22:45
エンタメ

ジャパニーズ・メタル入門者にオススメ! オムニバス・アルバムをたどればメタルの歴史が見えてくる

<文/山野車輪 連載第22回>

YouTube登場ですっかり影が薄くなったオムニバス・アルバム

日本ヘヴィメタル史上を代表する名盤! 関西出身のヘヴィメタル・バンドMARINO、SEXUAL、RAJAS、HURRY SCUARYの4バンドを収録したオムニバス・アルバム『BATTLE OF METAL』(1984年)

 筆者がヘヴィメタルに入門したきっかけのひとつに、友人が誕生日プレゼントにくれたお好みカセットテープがあった。そこには、METALLICA、MEGADETH、SLAYER、ANTHRAXのスラッシュ四天王やVENOMなどの洋楽ヘヴィメタルが収録されており、筆者の人生において多大な影響を受けてしまった。その友人は学卒後、エロマンガ家になっている。  同じくパンクスの同級生からも、赤痢やINU、筋肉少女帯の「パンクでポン」などが収録されたお好みテープをもらったのだが、パンク方面には進まなかった。当時の筆者はスピード命だったのだ。  80年代のヘヴィメタル黎明期、いろいろなバンドの楽曲を集めて収録したコンピレーション・アルバムが多数リリースされた。コンピレーション・アルバムとは、「編集企画盤」のことで、編集者の意図に基づき、既発曲を集めてアルバムとしたものである。日本では、オムニバス・アルバム、V.A.(Various Artists)などとも称されており、筆者としてはオムニバス・アルバムと称したほうがしっくりくるので、その名称でいきたい。また、既発曲でなく新録曲で制作されたオムニバス・アルバムも多い。  オムニバス・アルバムは、バンドとリスナー双方にとって有意義なものだったと言える。かつては、バンドの音楽に触れるには、音源を買うか、レンタルレコード屋で借りるか、ライヴ会場に行くかなど、いずれにしても無料というわけにはいかなかった。その際、多くのバンドを視聴するにあたって、オムニバス・アルバムは都合が良かった。  今でも同系統バンド・グループを知るにあたっては、まだまだ意義があるだろうが、インターネット環境が整っている現在、YouTubeで無料でいくらでも視聴ができるようになり、その存在意義は薄れたと言えよう。
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80年代ジャパニーズ・メタルのオムニバス・アルバムは“関東vs関西”
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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