更新日:2022年12月14日 01:24
エンタメ

オタクとお茶の間がヘビメタに染められた2000年代――デトロイト・メタル・シティ、けいおん!、声優メタル

<文/山野車輪 連載第20回>

『元気が出るテレビ』『イカ天』にジャパメタが登場した80年代後半

 筆者が高校生だった80年代後半頃は、L.A.METALのバンドやBONJOVI、Guns N’ Rosesなどが日本でも人気で、また以前の記事でも述べたようにジャパメタ・ムーブメントも熱かった。へヴィメタルは、例えば当時の有名バラエティ番組『天才たけしの元気が出るテレビ』などでも、お笑いの題材として用いられていたくらい、お茶の間に浸透し始めていた。  また、男女問わずバンド・ブームが吹き荒れており、1989年から放送開始されたバンドのオーディション番組『三宅裕司のいかすバンド天国』では、AURA、DISTOMA、FORTBRUGG、RABBIT、SALAMANDER、WENDY、VANISHING POINT、人間椅子、女的(GIRL TIQUE)などのへヴィメタル・バンドが登場した。

『イカ天』に登場したへヴィメタル・バンドたち――SALAMANDER、FORTBRUGG、女的(GIRL TIQUE)、VANISHING POINTの音源(筆者撮影)

 FORTBRUGGは、GALNERIUSの小野正利<vo>が在籍していた北欧メタル風バンドである。筆者にとってのFORTBRUGGとの出会いは、池袋の「まんがの森」のすぐ近くにあった某メタル専門店で売られていた3曲入りデモテープで、彼らが『イカ天』に出演していたことは、後に知った。  SALAMANDERは、ジャパメタとV系(ヴィジュアル系)の過渡期に位置するバンドで、『イカ天』で演奏された「薬似夜」という楽曲は、エンディングがX(X JAPAN)の「紅」に酷似しているのだが、同番組では審査員の評価を得られず完奏できなかったことにより、バレなかった。  ところで同番組には、メタル系を冷遇していたような空気があった。福岡のあるメタル・バンドが3秒ほどで赤ランプが点き、演奏すらさせてもらえなかったシーンをリアルタイムで観て、唖然とした記憶がある。
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デスメタルのギャグマンガ登場! 『デトロイト・メタル・シティ』
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

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