更新日:2022年12月17日 22:45
エンタメ

ジャパニーズ・メタル入門者にオススメ! オムニバス・アルバムをたどればメタルの歴史が見えてくる

嬢メタルによるオムニバス・アルバムへと進化

国産女性ヴォーカル・メタルだけを収録したオムニバス・アルバム(筆者撮影)

 ゼロ年代は、たくさんの国産バンドが精力的に活動していたのだろう。文化祭の前日のようなアゲアゲの空気が好きな筆者は、この頃に洋楽メタルから国産メタルへと移行していった。同人メタル・シーンが形成されていった時期でもあり、また、インターネットでオタク臭漂う“萌え”な女性ヴォーカル・メタルが目立ち始めた時期でもあった。  そのような時代背景からか、オムニバス・アルバムの中には、女性ヴォーカル・メタルを集めたものも複数存在する。筆者が確認したのは、『WOMEN’S POWER First』(1998年)、『THE RED HOT BURNING HELL vol.10』(2007年)、『METAL DIVA』(2010年)、『IRON ANGEL』(2013年)の4枚。後者2枚は、2010年頃から勃発した嬢メタル・ムーヴメントという新たな音楽ジャンル、そして時代の要請によるものだろう。

求む! ラウド系アイドルのオムニバス・アルバム

 国産メタルのオムニバス・アルバムおよびトリビュート・アルバムの歴史を紐解くと、日本のメタル寄りリスナーの興味が、洋楽メタルから国産メタル、V系、そして女性ヴォーカル・メタルへと移行していったことが見て取れる。これは、舶来品から国産品へ、男性ミュージシャンから女性ミュージシャンへ、音楽シーンからオタク・シーンへと移行していったと見ることもできるだろう。  ところでBABYMETAL登場以降、ラウド系アイドルのムーヴメントが勃発したが、同ジャンルのオムニバス・アルバムは制作されないのだろうか。旧来からのメタラーへの啓蒙には、オムニバス・アルバムのリリースという手法が効果ありそうだ。
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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