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ジャパニーズ・メタル入門者にオススメ! オムニバス・アルバムをたどればメタルの歴史が見えてくる

80年代ジャパニーズ・メタルのオムニバス・アルバムは“関東vs関西”

80年代ジャパニーズ・メタルのオムニバス・アルバム(筆者撮影)

 黎明期の日本ヘヴィメタル・シーンでは、オムニバス・アルバムが熱かった。特に80年代からのジャパメタラーは、その多くがオムニバス・アルバムを複数枚買っているのではないだろうか。  代表的なアルバムをあげると、『BATTLE OF METAL』(1984年)、『HEAVY METAL FORCE』(1984年)、『KANTO “宣戦布告” KANSAI Fighting Rock Revolution !!』(1985年)、『GO TO EAT (METAL DOM)』(1986年)、『METAL WARNING』(1987年)あたりが有名だ。  黎明期ジャパニーズ・メタル・シーンは関西が熱かったことから、『BATTLE OF METAL』は関西出身のMARINO、SEXUAL、RAJAS、HURRY SCUARYの4バンドで固められている。『GO TO EAT(METAL DOM)』も関西メタル・シーンで活躍する9バンドを集めている。  対して『HEAVY METAL FORCE』は、ANTHEM、VEIL、MEDUSA、SNIPER、十二単、BRODY、SABBRABELLSと、おもに関東インディーズ・シーンで活躍するバンドを集めたもの。こちらはジャケットが木箱で、異常なプレミアが付いている。同作はシリーズ化され、5枚リリースされた。シリーズ3作目の『HEAVY METAL FORCE III』(1985年)には、XとHIDE率いるSAVER TIGERなどが参加しており、LP盤だけでなくCD化されている。 『KANTO “宣戦布告” KANSAI Fighting Rock Revolution !!』は、関東(東京)3バンド、関西(大阪、神戸)2バンドを収録したアルバム。ここにも、「関東vs関西」というキーワードが使われており、日本のヘヴィメタル・シーンは、東西がバチバチのライバル関係にあったのだ。 『METAL WARNING』は、地域によらず当時インディーズ・シーンで活躍していたバンドを集めたアルバム。LPとCDでは収録曲数が違うので、曲数が多いLPのほうを押さえたい。後に続編アルバムがリリースされている。  ほかにも、『GRAND METAL LIVE』(1984年)、『ALL NIGHT METAL PARTY ’84TO’85』(1985年)、『HUNGRY DAYS』(1987年)など、ライヴ・イベントを収録したアルバムなどもある。

Xも参加! スラッシュメタルのオムニバス・アルバム

 80年代半ば頃、スラッシュメタルのムーヴメントが勃発すると、それに応じて、スラッシュ系バンドを集めたオムニバス・アルバムがリリースされた。『SKULL THRASH ZONE VOLUME Ⅰ』(1987年)、『SKULL SMASH』(1988年)、『FAR EAST THRASH ARMY-THRASH LIVE IN SAVEGERY』(1989年)あたりが代表格だろう。 『SKULL THRASH ZONE VOLUME Ⅰ』は、XやDOOM、JURASSIC JADEなど知名度および高レベルのバンドが参加している。『SKULL SMASH』と『FAR EAST THRASH ARMY』は、スラッシュとハードコア系のバンドを集めたオムニバス・アルバム。『FAR EAST THRASH ARMY』は、シリーズ化された。
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90年代後半、洋楽メタルのトリビュート・アルバムが登場
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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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