AV業界の新ルールでパッケージから消えた言葉たち
’16年3月から世間を騒がせ続けてきた「AV強要問題」。メーカー、プロダクション、女優、制作関係者はそれを契機に「健全たる産業」にすべく動き出した。そして、この4月、第三者機関に指導を仰いだ「新ルール」の名の下に、業界は再出発した。
※『週刊SPA!』4/24発売号「AV改革のウラ側」よりライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
新ルール導入に揺れるAV業界だが、撮影現場はどのような影響を受けているのか? ある女流監督は「正直、女優の良さを引き出すのが難しくなっている」と嘆く。
「台本に書いてある以外のプレイは撮れないので、女優さんが盛り上がってうっかり潮を噴いてしまったりすると大変ですよ。撮影は一時中断、急いで追加の契約書を作成して、女優さんに拇印を押してもらうんです。当然、プロダクションの確認にも回します」
また、モザイクもより濃く、大きくなり、挿入部分のアップがウリのレーベルは即潰れたという。
「アナルは普通に映すぶんにはセーフですが、拡げたり、性器のような扱いするとモザイクが必要です。以前から規制の厳しかった露出モノでも、着衣の場合は大丈夫ですが、オッパイが出た時点で背景にはすべてモザイクをかけます。ナンパものや“ご当地モノ”は場所が特定できなければセーフなようですが……。そうするとスポット名を入れる意味があまりない。また、『マジックミラー号』シリーズなど、車内で撮影している作品も、いよいよ撮れなくなると言われています」
さらに、作品の中身だけでなく、タイトルやパッケージの文言にも制約が増えているという。
「レイプ・陵辱モノは『犯す』などの言葉に言い換え、なおかつ『本人の承諾を得ています』と書かなければ審査が通らない。『女子校生』や『JK』も伏せ字にしています。こちらとしてはパッケージを作る前にNGワードを教えてほしいのですが、写真や作品内容とセットで審査されるんです。しかも、審査する人によって基準が違うので、同じシリーズのタイトルが2作目では通らなかったりする。ネットスラングの『ヤンデレ』が大丈夫でも、『メンヘラ』はダメだったり、現場は探り探り作っているのが現状です」
濃くなるモザイクとは反対に、ジャンルごとの色わけは薄くなっているようだ……。
パッケージも本編も、審査が通らなければ流通できないため、ここ数か月は新作の制作に二の足を踏むメーカーもあったそうだ。
「再編集すると余計に予算がかかるので、昨年末に撮り溜めしているところもあったようです。1月あたりまで様子見で撮影を止めていたメーカーもありましたが、ウチは指示に従って修正しつつ、コンスタントに続けていました」
混乱が続くAV業界。新ルール導入で消えるジャンルやプレイもあるが、ユーザーとしては新たな表現法に期待したい。
取材・文/林泰人(SPA!編集部)
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