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将来価値が暴落するタワマンはどこ?

―[タワマンの悲劇]―
首都圏では近年、常にどこかのエリアでタワマンが建っており、湾岸エリアにいたっては、どこを見ても大規模な建設現場という状況だ。しかし、今、タワマンの供給過剰が叫ばれ、中国人投資家も投げ売りし始めたという噂も聞こえてくる。一方、住人たちも購入前は予測だにできなかった数々の問題に直面していた――。 タワマンの悲劇 住民トラブルや価格高騰、修繕費問題など負の側面ばかりが目立ってしまうタワマンだが、それでもなお、あこがれを捨てきれない人もいるだろう。  そんな諸氏にオラガ総研代表の牧野知弘氏は「どうしても買って住みたいなら、3年くらいで売却して引っ越す覚悟を持って」とアドバイスする。 「タワマンの購入者には、余剰資金を節税や投資目的で投入したという人と、自ら生活するために住宅ローンを組んだという人がいる。前者は今後、本格的に価格の下落局面がきたら逃げ足は速い。  しかし、タワマンを生活の場として根を下ろしてしまう後者は、なかなかそういうわけにいかず、含み損を抱えて眺めるだけということになりかねない。また、賃貸に出ている物件が多いタワマンは前者の割合が多いということなので、彼らの投げ売りが始まれば空室率が高まって資産価値が一気に下がることになります」  一方、住宅ジャーナリストの榊淳司氏はこう提言する。 「江東区の有明や千葉など、交通が不便な場所にあるタワマンを買うくらいなら、五輪が終わるのを待って、価格が下がってきた勝どきや晴海の物件を買っておいたほうが、将来における資産価値の減損は少なくてすむでしょう。それらのエリアは、年収1000万円超の世帯が日本一密集しているといわれているし、立地としてのブランドは残るのではないか。  それが無理なら北千住や南千住など、昔から街があったところに建てられた物件のほうがマシ。埋め立て地や荒野を切り開いて開発されたような人工の街には土地の価値はなく、タワマンバブルが崩壊すれば何も残らない。約40年前に人々のあこがれだったのに、今や限界集落化している多摩ニュータウンと同じ道をたどるだけ。  私は以前、広告会社を経営していましたが、タワマン広告を担当したとき、『虚栄心をくすぐれ』と注文されたものです。虚栄心で買うような人はデベロッパーの思うつぼです」  今はきらびやかに映るシーサイドのタワマンも、その実態は砂上の楼閣なのかもしれない。<取材・文/池松信二 撮影/山田耕司、山川修一(本誌)> 【牧野知弘】 オラガ総研株式会社代表取締役。東大経済学部卒業後、第一勧銀、ボストンコンサルティング、三井不動産などを経て現職。著書に『2020年マンション大崩壊』(文春新書)など多数。 【榊 淳司】 住宅ジャーナリスト。マンションの広告制作を行う会社を経営する傍ら、不動産市場を分析するブログが人気を博し、現職に。近著に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書) ― タワマンの悲劇 ―
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