タワマンって本当に買うべき? 価格高騰&過剰供給が問題に…
―[タワマンの悲劇]―
首都圏では近年、常にどこかのエリアでタワマンが建っており、湾岸エリアにいたっては、どこを見ても大規模な建設現場という状況だ。しかし、今、タワマンの供給過剰が叫ばれ、中国人投資家も投げ売りし始めたという噂も聞こえてくる。一方、住人たちも購入前は予測だにできなかった数々の問題に直面していた――悲劇の現場を徹底リポート!
タワマンの供給ラッシュはまだまだ止まらない。
’08~’17年の首都圏にできたタワマンは341棟にのぼる。今年以降に完成(予定)のものをあわせると、522棟・約20万戸に達する見込みだ。こうして見ると、さすがに供給過剰を指摘する声もあるが、不動産経済研究所の調べによると、’17年度に首都圏で売り出された新築マンションの1戸当たり平均販売価格は5921万円で前年度より6.9%上昇している。これは、バブル期の’90年度以来の高水準だ。
しかし「ここでいう平均販売価格はあくまでデベロッパーが決める定価であって、需給が一致した相場ではない」と指摘するのは、不動産仲介のオフィスデータサービスの執行役員・春名貴清氏だ。
「デベロッパーは、新築マンション価格は高めに設定しておいて、その後、値引きをしていくという売り方。某大手デベロッパーにいたっては、竣工前に完売してしまうと価格設定ミスとして、担当者がクビになったという噂もあるほどです。それが、最近ではさらに強気な価格設定がされるようになっている。
例えば、住友不動産の『シティタワー武蔵小杉』は竣工から2年が経っても今なお完売していませんが、それでも坪当たり367万円。付近のタワマンの新築価格が坪330万程度なのにも関わらずです。豊洲で’21年竣工を目指すタワマンも坪380万円以上で設定されている。これも周囲に比べても1割以上高い。’08年のリーマン・ショックの際、新興の中小デベロッパーは軒並み倒産してしまった。そのため、現在の首都圏のタワマン市場は、住友、三井はじめ上位4社の寡占状態にあり、強気な価格設定に拍車をかけている」
実際の相場を把握するには、実売価格を見なければならない。しかし、各デベロッパーは新築物件の実売価格を公表していない。ただ、不動産経済研究所の調査では、首都圏で’17年度に売り出された新築マンションの初月契約率は平均68.8%にとどまっており、好不調の分かれ目となる70%を下回っている。このままでは供給過剰になるのではないか。
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