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初代フェアレディZ、ロードスター…手間も金もかかる“旧車”に乗る男たちの言い分

昭和に誕生した国産の“旧車”を買い求める人が増えている。走らせるためにはそれなりのドライビング技術やクルマの構造の理解、さらには整備の技術、手間まで求められる旧車が、どうして再び脚光を浴びているのだろうか。そこには、単に「ノスタルジー」の一言では片付けられない理由があった──。

旧車に惚れ込んだ男の言い分


 生産されて30年、40年を経たクルマの実像は、なかなか掴みづらいもの。そこで、旧車オーナーの方々に、実際どのように旧車と付き合っているのかを尋ねてみた。

 堀口収さん(51歳)の愛車は、昭和55年式のスバル・レオーネクーペ4WDRX。購入したのは5年前のことである。

昭和の旧車28台が大集合

<昭和55年式 スバル・レオーネ クーペ4WD RX>「ラリーで強かったイメージがあるんでホイールはエンケイ製8スポークを組み合わせてみました。あくまでもノーマル車高にこだわってます」と堀口収さん

「もともとは310型サニーを探していたのですが、このレオーネをインターネットで見つけて一目惚れ。以前、910ブルーバードに乗っていたときに高速で抜かれたことがあったこと、ラリーで活躍していたときのエピソードを聞いていたこともあって、実は気になっていたんですよね。で、東京から岐阜のお店に2回も見に行って、ようやく手に入れました。今はネットを駆使して、レオーネ仲間とクルマの知識を増やしているところです(笑)」

 ステアリングはナルディクラシックに交換したが、車高はノーマルを維持しているそうだ。

手のかかるワガママな女性のような旧車


 ローテクならではの根源的な魅力に溢れているのが旧車。ステアリングを回した分だけ曲がり、アクセルを踏んだ分だけパワーが伝わり、ブレーキを踏んだ分だけ制動力が伝わる。今どきのクルマのようにステアリングをアシストしたり、ABSなどの電子制御がかかっていたりもしない。しかし、だからこそクルマの基本動作を素直に味わうことができる。

 諏訪豊信さん(46歳)が中学生のとき、先輩たちが乗っていたのがS30やハコスカ。なかでもシャコタンにして走るS30の姿は、中学生の諏訪さんには刺激的すぎた。

昭和の旧車28台が大集合

<昭和44年式 ニッサン・フェアレディZ432>「スカイラインGT-Rと同じ名機S20型DOHCエンジンや室内も完璧に修復。ステアリングは簡単に外せるようクイックリリース式にしています」と諏訪豊信さん

「今から10年前、知り合いからベース車に近いZ432があると教えられたんです。これは買うしかないと自らを鼓舞して手に入れたけど、それからが長かった。ボディは近所の腕のいい板金屋で部分的に修復した後に全塗装。エンジンは3回もオーバーホールすることに。その間にS30を通じて知り合いになったショップや仲間たちに助けられて、ハーネスを作り直し純正新品サスペンションを手に入れ、内装は下町の職人にフルで張り替えてもらいました」

 ボディ色から内装、車高までほぼ純正どおり。ここまでくるのに8年。途中、何度も諦めかけた。だが知り合いたちの温かい言葉や協力、何より「ここまでやったからにはトコトン直してやる」という諏訪さんの強い意志が重なり、ようやく完成した。

 昭和45年式のニッサン・初代フェアレディZを所有しているのは、松島健二さん(49歳)。左ハンドルの逆輸入車と7年の付き合いになるという彼もまた、旧車特有の操作性に惚れ込んでいるもようだ。

「もともと旧車に興味があったんですが、たまたま知り合いがこのZを手放すって話を聞いて、頼み込んで譲っていただきました。正直、Zは今のクルマに比べて燃費は悪いし、エアコンの効きも悪いです。ただ、それが気にならなくなるくらい、ドライブが楽しいんですよね。なので、旧車だから雨の日は乗らないではなく、あえて普段使いしています。おかげでキャブレターの調子がおかしいときは、音や臭いで判断できるようになりました。手のかかるワガママな女性のようですが、そこがまた魅力的なんです(笑)」

 初代フェアレディZのメンテナンスを依頼しているショップを通じて、多くのZ仲間と知り合うことができたという松島さん。そうした同好の士との交流も、旧車の魅力と言えるのかもしれない。

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