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温泉はなぜ体にいいのか? 『ホンマでっか!?TV』出演の医学博士が解説

 「健康的な毎日を送りたい。だけど、運動や食事制限はツラい……」。そうした葛藤を日々感じている人は少なくないはず。そんななか、最も手軽にかつ高い健康効果を得られると最近、注目を集めているのが「温泉」である。『医者が教える最強の温泉習慣』の著者で医学博士の一石英一郎氏も「温泉の健康効果は医学的根拠にも実証されています」と太鼓判を押す。医学的エビデンスから明らかになった「温泉の高い健康効果」の正体をその分野の第一人者であり、『ホンマでっか!?TV』への出演も話題となった一石氏が解説する。(以下、寄稿)

一石英一郎氏(撮影/林紘輝)

病気に負けない身体を作るなら、とにかく温める

 温泉習慣は、風邪やがんなどを予防できる可能性を秘めており、なんと“遺伝子レベル”で健康な身体を手に入れるためにも有効です。自慢ではありませんが、私は風邪をほとんどひきません。毎日多くの患者さんと近くで接しており、インフルエンザの予防接種も毎年受けているわけではないのですが、10年以上罹患していません。これは、毎日何があっても必ず湯船に浸かり、ときには温泉でしっかりと身体を温めているからではないかと考えています。  というのも、免疫力を高めるには、「体温を上げる」ことが非常に重要であることが医学的にも明らかだからです。インフルエンザなどで高熱になることからも、体温と免疫力の相関関係は何となく実感されるところではないかと思いますが、まずはそのメカニズムを説明しましょう。  高熱時、体内では、「インターフェロン」という免疫物質が出て、知らず知らずのうちに体内に病原体などの異物が侵入するのを防ぎ、菌が増殖するのを抑制してくれています。  インターフェロン自身が発熱させる作用を持っている一方、風邪の原因となるウイルスそのものも高温で弱る性質があるので、体温が上がることで、いわば“生体防衛軍”を優勢にし、逆に敵であるウイルスを劣勢にすることができるのです。  これは逆に言うと、体温が低くなると、それだけ風邪などへの抵抗力が弱くなるということ。したがって、入浴後に寒い部屋でテレビやパソコンを見て夜更かしするのは湯冷めで風邪をひく危険性が高いのでやめておきましょう。  また、日本人の死因第1位である「がん」を予防する観点からも、身体をしっかりと温めることは重要です。インターフェロンのような免疫物質を産生し免疫活性を上げ、人の免疫機能を担う細胞を「NK(ナチュラルキラー)細胞」と呼びますが、NK細胞は温熱刺激により活性化することがわかっているからです。  活性化したNK細胞は外敵を殺傷する能力をもち、体内でがん細胞やウイルス感染細胞などの異常を発見すると攻撃をしかけてくれますから、いわば「体内の必殺仕事人」。たとえば、人間の体は高齢になるにしたがって毎日のようにがん細胞を生み出しているのですが、それでも発症する人が少ないのは、NK細胞が日々戦ってくれているからなのです。
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温泉の熱で“細胞そのもの”が若返る
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医者が教える最強の温泉習慣

入浴するうえでのポイントから泉質ごとの特徴まで、これまで広く語られることのなかった<温泉が持つ無限の可能性>を紹介!

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