食べるな危険!山菜だと思ったらトリカブトだった…見た目がそっくりな毒草に注意
食品が傷みやすい夏場は、食中毒のリスクが高まる。だが、毒草や毒キノコの誤食によるものも食中毒と呼ぶことをご存じだろうか?
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
「夏場はキャンプなどアウトドアで山に入る人も多く、そのついで山菜を採る人もいます。しかし、食用の山菜と葉の形状などが似ている毒草は多く、誤食による死亡事故は毎年のように起きています」
そう語るのは、山菜アドバイザーの荻田毅氏。例えば、猛毒で知られる“あの毒草”も誤採取や誤食が多いという。
「トリカブトです。おひたしや和え物などにして食べるニリンソウに葉の形が大変似ているんです」
また、独特の風味で食用としても広く知られているギョウジャニンニクは、近年ガーデニング用として人気のあるが独草のイヌサフランに葉の形が似ている。
「イヌサフランの園芸種の球根が外に流れて、一部野生化している可能性があります。ただし、ギョウジャニンニクにはその名の通り、特有のニンニク臭があり、時間が経つと臭いはさらに強まるという特徴を持ちます。そのため、臭いの有無で判断が可能です」
ほかにも全国各地に自生する多年草のノビルは、タマネギのような辛みを持つ球根が食用として人気だが、毒性の強い水仙(スイセン)と間違えやすいとか。
「スイセンの葉のほうがやや大きいですが、どちらも長細い葉の形が似ているんです。こちらの写真のように同じ場所に生えていると、『一部の葉だけが大きいノビル』と思い込んでしまう可能性もあります。スイセンは冬~春にかけて白や黄色の花を咲かせますが、夏場は花をつけないので区別しにくく注意が必要です」
こうした誤採取による死亡事故は、普段から山菜を採り慣れている人でも起こす危険があるそうだ。
「何度も採っていることで、慣れによる思い込みや慢心を生むからです。それだけに初心者はさらに気を付けなければいけません。特に最近はスマートフォンで画像をチェックして採る人も増えていますが、もともと形状が似ているので確認しながらでも間違える可能性はありますし、そもそもネット上の画像が本当に正しいのかという問題もあるからです」
そのため、採ってきた山菜を近所の方や友人などに“おすそ分け”するのは、「絶対に止めるべき」と訴える。
「善意だったとしても、もしそれが毒草だった場合、食べた相手は最悪亡くなることだってあるのです。山菜は自分で採ったものは、自分で食べて消費するのが鉄則。これを徹底しましょう!」
夏場はキャンプなどアウトドアを楽しむ人も多く、軽い気持ちで「せっかくだし、山菜でも採ろう!」なんて思う人も多いはず。それが取り返しのつかない事故に繋がるケースもあるということをしっかり覚えておこう。<取材・文/高島昌俊>
【荻田毅氏】
山菜アドバイザー、きのこアドバイザー。その知識を生かして、アウトドア専門の現役ツアーガイドとしても活躍。
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ