なぜ、トランプは下院で野党民主党が勝利したことを気にしていないのか?
アメリカ大統領は、戦争の時は独裁者並みの権限を与えられ、世界に対しリーダーシップを振るう。それも、上院が「戦争権限法」という法律を可決した場合である。つまり、大統領が戦争を行うかどうかの決断も、上院の同意次第なのだ。
とまあ、これくらいの解説は特にアメリカが専門でも何でもない私でもできる。幸い、現代アメリカ政治に関しては、2人の信頼できる方のご教示を得る機会に恵まれたのでご紹介したい。
一人は、SPA!連載「ニュースディープスロート」でもおなじみの、評論家の江崎道朗先生である。江崎先生は早くから「トランプは色物ではない」と主張され、その分析の通りに事が進んでいる。不肖倉山も『大間違いのアメリカ合衆国』(KKベストセラーズ、2016年)でトランプ登場の意義を書いたが、かなりの部分を江崎先生のご教示によった。
もう一人は、早稲田大学招聘研究員の渡瀬裕哉先生である。渡瀬先生によれば、トランプの思惑は2年後の大統領選挙に向けて共和党内の掌握が肝要で、やや非協力的な下院に関しては引き締めの目的があったとのことだ。だから上院議員選挙と知事選挙に応援を集中し、下院にはエネルギーを割かなかったという。
渡瀬先生は複数の著作があり、インターネット媒体でも精力的に執筆をされているので、検索していただければと思う。
読者諸氏も良質な言論に触れることで、本物を見抜く審美眼を身につけていただければと思う。
では、悪質な言論とは何か。
一つは、いい加減な情報と中途半端な知識で「これが正解だ」と決めつけるような言論。自分の誤りを認めず、なかったことにする言論。そして根拠のない予想。他にも色々あるが、アメリカ政治に関しては特にこの3つが甚だしい。
上院で多数を得たトランプが上機嫌な理由がお判りいただけただろうか。1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中
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