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ニーズ高まる「地方移住」。あえて首都圏の埼玉に移住するメリットとは?

―[埼玉移住]―
 近年、注目度を増している地方移住。かつては定年を迎えた層がするものというイメージが強かったが、近年の主流は現役世代の移住。都会の喧騒から離れた場所で子育てを行いたい、自分らしい生活を送りたいという理由から地方へと居を移す層が増えているようだ。  さる12月9日(日)、そんな移住ニーズに応えるべく埼玉県と東武鉄道が「移住のための家探し、暮らし方のコツ〜埼玉で暮らす〜」と題したセミナーを開催した。

地方での家探しのコツから、各自治体の魅力、移住先での働き方まで。東武不動産の埼玉エリア担当者や自治体の職員などが代わる代わる登壇し、移住を検討する参加者にアドバイスを送った

「東京を捨てなくてもいい。でも、そこそこ田舎」。それが埼玉の魅力

「長野や山梨、静岡などが地方移住先として人気ですが、埼玉への移住の魅力は『東京を捨てなくてもいい』という点だと思います。田舎で自然豊かな生活が送れるけど、1時間半あれば都心にも電車1本で出られる。そんな都会とのほどよい距離感が心地よいですね」  そう語るのは、自身も埼玉県北部の寄居町にUターン移住し、コンサルティング会社を経営している上田嘉通氏。上田氏は寄居町の市街地活性化に関するタウンマネージャーとしても活躍している。この日のセミナーにも登壇し、埼玉の魅力を寄居町から発信し続けるひとりだ。

上田嘉通(うえだよしみち)●埼玉県寄居町生まれの37歳。JTB総合研究所にて全国の過疎地域・離島地域に特化したコンサルティングに従事したのち、’18年4月に地元である埼玉県寄居町にUターン。現在は株式会社まちづくり寄居のタウンマネージャーを務めるほか、一般社団法人離島総合研究所代表理事、株式会社小田屋の代表取締役も務める

在宅ワークを町ぐるみで推進。「母親が子育てしながら働ける町」を目指す

 前述のとおり、子育てを理由に地方移住を検討する夫婦も少なくない。上田氏はそんな子育て世代への支援にも注力しているという。 「寄居町では待機児童の数がゼロ。また、町として子育て中の女性の在宅ワークを支援し交流の場を広げる『YORI MaMa(ヨリママ)』というプロジェクトを11月に発足させました。母親向けの在宅ワークを提供する東京都内のベンチャー企業「(株)アンダースタンド」と町と自分の三者で包括連携協定を結び、寄居町の自宅にいながら東京の単価で仕事ができる環境を町ぐるみで作っています」(上田氏)  そのほかにも「若者にまちづくりの当事者となってもらいたい」という考えから、18歳以上35歳未満の男女で今後のまちづくりを考える「寄居若者会議(事務局:寄居町)」や、若者とベテラン世代との交流を目的とした「よりいわからんナイト」などを定期的に開催。その一貫として、駅前の空き店舗を利用して「まちタネ!」という交流施設も7月にオープンさせた。 「自由に使えるコワーキングスペースとして、町のイベントブースとして、町の人たちがつくった商品を売る場所として活用しています。こうした空き店舗を活用して町の若い人が起業・創業しやすい環境を作っていきたいですし、その支援策にも力を入れています。町としての“稼ぐ力”を高めることが、町の活性化はもちろん、地方移住先としての魅力を高めることになると思っています」(上田氏)

寄居町で定期的に開催されている寄居若者会議の様子。こうした会を定期的に開催することで、「まちづくりもっと関わりたい」と主体的な声を上げる人も増えたそう

駅前に誕生した交流施設「まちタネ!」。「人が集まり、町の面白いことの拠点になりつつある」(上田氏)という

「Uターンしてみて、改めてこの町の暮らしやすさに気づいた」

 かくいう上田氏もUターンして寄居町に戻るまでは都心で生活を送ってきたひとり。地方移住してみて得られたメリットは大きいと感じているという。 「寄居町は本当に暮らしやすいですよ。空気感だったり、人との距離感はもちろん、いつも周りに山が見えて、川の流れが聞こえる環境は恵まれてるなと思いますね。住宅購入費や賃料は都心より断然安いですしね」  また、寄居町はかつて食肉加工場があったこともあり、やきとんやもつ煮などの豚肉料理が名物なんだとか。 「それに桜のシーズンの寄居は本当に美しいですよ」  桜といえばソメイヨシノが有名だが、寄居町には秋に咲く桜も含め137種・4500本の桜の木があり「1年中桜に出会える町」として有名だ。山や清流に囲まれて美味しい料理や桜が楽しめる寄居町。東京と同じ首都圏とは思えない恵まれた環境にある。 「でも、行こうと思えばすぐ都会にも出られる。このバランス感覚が、やはり埼玉への移住の魅力ですね。また、埼玉の北西部は地盤も強い。安心して住める点も魅力的だなと感じています」  不便で、仕事がなくて、お年寄りばかり――。ときおり聞かれる、地方への負のイメージ。しかし、寄居町のように若者を中心として着実に変わりつつある自治体が増えているのも事実。「地方移住」が注目を集めるなか、移住者だけでなく、受け入れる自治体も大きな転換期を迎えているようだ。 [問い合わせ先] 寄居町 総合政策課 TEL.048-581-2121(内線461) 寄居町ホームページ http://www.town.yorii.saitama.jp/ 「住むなら埼玉!」移住・定住情報 https://www.pref.saitama.lg.jp/a0106/sumunarasaitama/index.html [動画情報] 「埼玉物語」 都会暮らしに疲れた一家が移住を決意。最初は反対していた子供たちも、大自然に囲まれた移住先の埼玉県の環境に惹かれ、笑顔を取り戻していく物語。移住とは何かを問う話題作。
〈取材・文/日刊SPA!取材班 撮影/林 紘輝〉 提供/埼玉県庁
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