DA PUMP「U.S.A.」はレコード大賞有力?郷ひろみ“アチチ”と並ぶ歌詞の妙
“ダサかっこいい”ダンスで今年の音楽シーンを席巻した、DA PUMPの「U.S.A.」。
第60回『輝く!日本レコード大賞』(12月30日発表)の候補である優秀作品賞10曲のうちの1曲に選ばれており、外国曲のカバーながら大賞の有力候補との声も。年末の音楽番組にも出ずっぱりで、ますます耳にする機会も増えている。
だが意外なことに、繰り返し聞いていると、歌だけでも楽しめることに気がつく。むしろ、一語一語が絶妙に配置されたカタカナ英語の歌詞の方が、振り付けを際立たせているのである。イモ臭い発音と、動きの野暮ったさが見事にリンクしているというわけだ(原曲はイタリアのミュージシャン、ジョー・イエローが1992年にリリースした「U.S.A.」)。
このユーモラスな爽快感は、「Livin’ La Vida Loca」(リッキー・マーティン)のカバーで、第41回レコード大賞の最優秀歌唱賞も受賞した「GOLDFINGER 99」(郷ひろみ)の“アチチ”以来なのではないだろうか。こちらも、“ア・チ・チ ア・チ”というフレーズと、手のひらをヒラヒラとさせる振り付けが大流行した。
ただし、ダンスが面白いだけで、半年もの間ロングヒットになることは難しい。郷ひろみ同様にカバー曲とはいえ、DA PUMPの場合も、そこにはソングライティングの妙味が光っているのである。
shungo.による歌詞から、いくつか見ていこう。
まずカタカナ英語だと耳で分かるようにメロディと組み合わされたフレーズに注目したい。
たとえば、“りいぜんと”と歌わせる<リーゼントヘア>や、“みらあぼおる”と音節がほぐされた<ミラーボール>。原曲のメロディを活かしつつ、脱力感が保たれているあたり、非常にスマートだ。
こうして“つかみ”にあたるAメロ部分で、“ダサさ”の骨格が決まる。パフォーマーのDA PUMPと作者のshungo.が、聴き手に伝えたいメッセージを共有していることが分かる。
その一方で、たどたどしさやいなたさ(垢ぬけなさ)で押し切らない、バランス感覚も光る。サビでは、原曲の<fire>や<desire>にあたるメロディの勢いに乗る語句をチョイスしているからだ。
<サクセスの味方organizer>も<ドリームの見方をinspired>も、ほぼ意味を犠牲にしたフレーズだが、そのことによって音楽が救われている。ISSAの鋭いボーカルも加わり、多少の無理も爽やかな緊張感をもって響くのだ。
あえてもたつくAメロと、スピード感あふれるサビ。このメリハリが、DA PUMP版「U.S.A.」のオリジナリティであり、それを支えているのがshungo.による日本語詞の“計画的なダサさ”なのである。
確かに、歌詞にどのような意味や意図が込められているかを分析することも楽しい。だが、うたわれる言葉には、音を響かせる機能を持つ道具としての一面もある。
妙にクセになる「U.S.A.」には、そんな歌詞のマジックであふれている。やはりロングヒットには、それなりの理由があるのだ。
<文/音楽批評・石黒隆之>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

郷ひろみの“アチチ”以来のおもしろカバー曲

ダンスだけじゃない、歌詞のダサマジック
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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