あと数ケ月で消費税10%に。日本経済の余命は1年を切った/倉山満
経営者やビジネスマンでなくとも、まともな経済感覚を持つ者なら、
「借金は利子より儲けのほうが大きければ、問題ないではないか」「福祉が国家予算を圧迫しているのだから、削る努力はしなくていいのか」
「総理大臣の発言を聞いていると、10月1日から景気が悪くなるようにしか思えないが」と即座に反論できるだろう。ところが多くは経済紙(誌)を読んで財務省のプロパガンダを真に受けている。マトモな経済人はいないのかと疑いたくなる。
第二の敵は、財政出動派だ。デフレ脱却には金融緩和ではなく、財政出動が必須だと唱える輩だ。この人たちは口では「消費増税反対」を唱えているが、嘘つきの正論など犬のエサほどの価値もない。
この人たちの嘘は歴史を見れば明らかだ。金本位制の時代ならいざ知らず、現代日本においては財政出動だけで景気回復を成し遂げた例はない。小渕恵三内閣では大規模財政出動をした。だが、最も効果があったのが小渕首相の「株上がれ~」のパフォーマンスという体たらく。麻生太郎内閣ではリーマンショックに日本は何の関係もないはずなのに金融緩和をしなかったばかりに、地獄絵図となった。空前の財政出動をしたが、「世界のキャッシュディスペンサー」と揶揄されただけだ。第二次安倍内閣の8%増税の時も財政出動は何の意味もなかった。
そして今回、7兆円もの空前の国土強靭化予算が投じられることとなった。この人たちの議論が正しいなら、消費増税の悪影響はないはずだが、どうもそういう声は聞こえない。
そして財政出動派が絶対に言わないことがある。防衛費増額である。原田泰氏はリフレ派の中でも財政出動に最も懐疑的な立場だが、防衛費だけは意義を認めている。ところが「そんなに財政出動をしたいなら、土木ではなく防衛費ではどうだ」と問いかけても、応えない。
それは当然で、国土強靭化なる土建屋丸投げを推進しているのは二階俊博幹事長である。ゼネコンの利益代表であるだけでなく、言わずと知れた親中派だ。
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