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小沢一郎は死んでいない…国民民主党と自由党の合併で安倍内閣を脅かすか?/倉山満

国民民主党と小沢一郎率いる自由党の合併が発表。小沢一郎の実力とは……?

言論ストロング

1月24日、国会内で会談を終えた自由党の小沢一郎共同代表(左)と国民民主党の玉木雄一郎代表(右)。はたして、安倍内閣を脅かす存在となり得るのか……?(写真/時事通信社)

 国際法では、悪事をやった者は悪いが、悪事に泣き寝入りした者はもっと悪い、という原則がある。国際法とは国際政治の掟であり、国と国との仁義である。自分の権利を自分で守れない国は、マトモな国として扱われないのだ。  北朝鮮や韓国の一連の悪事は第三者から見れば非文明的だが、それに泣き寝入りしている日本は、もっと信用ならない国なのだ。  では、この掟。国内政治では、どうだろうか。  もう6年も「安倍一強」が続いている。その内実がいかに脆弱であるかは、本連載で再三再四、説いてきた。要するに、他に代わる人がいないのだ。自民党の代わる候補と言えば、石破茂に岸田文雄。デフレの時に増税をしろと迫るご仁だ。ならば国民は、「景気回復してくれるだけ、安倍内閣でも良い」となる。  野党を見渡すと、目も当てられない。海江田万里、岡田克也、蓮舫。歴代野党第一党党首が、どれほどの勝ち星を安倍内閣に献上し続けたか。揃いも揃って、「一強」の守護神たちだ。民主党政権の惨状を何も反省していない人たちならば、やはり国民は「景気回復してくれるだけ、安倍内閣でも良い」となる。  現在の野党第一党党首は枝野幸男立憲民主党代表だ。政策だけは、「増税凍結」「安倍内閣の改憲に反対」「元号の事前公表を許さない」と支持できるが、いかんせん民主党内閣の閣僚だった人物だ。その真贋、しばらく見極めさせていただくこととする。  今年は4月に統一地方選挙と衆議院の補選、7月に参議院選挙がある。政治決戦の年だ。昨年の沖縄県知事選挙では野党が結集して自民党と公明党の候補を倒したが、その動きが静かに加速しているようだ。  知名度低迷に悩む国民民主党と小沢一郎率いる自由党の合併を前提にした統一会派の結成が発表された。小沢一郎と言えば「昔の名前で出ている人」と思うかもしれない。実は私は、「平成の政治をけん引した(ひっかきまわした)人」という評価を過大評価だと思っており、この人物に言及することはあまりなかった。だが、今の政界を見渡せば実力者だと評価せざるを得ない。相対的に。  小沢一郎自由党共同代表は、昭和17(1942)年生まれの76歳。おそらく今年が最後の政戦となるだろう。東大に2浪した後、慶応大学経済学部に入学。司法試験を目指して日大法学部大学院に進学し、面接試験まで進みながらも代議士だった父の急逝により衆議院選挙に出馬。昭和44年、27歳で田中角栄の子飼いとして当選した。角栄の早世した子供と同い年だったことから、可愛がられたが、竹下登がクーデターを起こしたときは首謀者となった。  その功績で入閣したのは43歳の若さで自治大臣だが、唯一の入閣歴となるとは誰も思わなかった。竹下内閣では、45歳で官房副長官。格下げだが、官邸の要と目された。そして竹下傀儡の海部内閣では、47歳で自民党幹事長。「剛腕」の異名をとる。さらに竹下派事務総長として竹下の跡目を狙うが、小沢の先輩たちが反発。小沢は竹下派のみならず、自民党にもいられなくなった。  小沢は、ここで起死回生の一手を放つ。野党との連立内閣である。小沢が担ぐ羽田孜率いる新生党と野党が組めば自民党を数で上回る。結果、細川護熙連立内閣の成立で、自民党は野党に叩き落とされた。しかし、内閣で内紛が絶えず、細川・羽田の両内閣とも短命で終わり、小沢は長い野党生活を強いられる。
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小沢は死んでいない
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