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あと数ケ月で消費税10%に。日本経済の余命は1年を切った/倉山満

言論ストロング

日本銀行政策委員会審議委員に就任し、記者会見する片岡剛士氏(右奥)。一人正論を主張し続け、孤軍奮闘する片岡氏が報われる日は、果たして来るのだろうか?(写真/時事通信社)

おい、安倍!バカ!辞めろ!ハマコーなら……

 おい、安倍! バカ! 辞めろ!  ハマコーなら、叱りつけているだろう。  ハマコーとは、浜田幸一代議士の異名。元ヤクザで、殺人未遂の前科者だった。昔の自民党は、「衆議院に7回当選したら、ハマコー以外は誰でも大臣になれる」という政党だった。異様なまでの情報通で、「触らぬハマコーに祟りなし」と恐れられた。ある時ハマコーは、社会党の某代議士に対し「黙れ強姦野郎!」と罵った。 「憲政史上最低の野次」と呆れられたが、ハマコーは「俺を懲罰委員会にかけろ! 社会党の誰に賄賂が渡ったか、金額付きで暴露してやる!」と息巻き、お咎めなし。片や、野次られた某代議士は秘書への常習的なセクハラが明らかになり、政治生命を絶たれた。  森喜朗元首相など本当にカメラの前で、「おい、森! バカ! 辞めろ!」と罵られていた。国民の不信に耳を傾けない首相に対するご意見番が、ハマコーだった。  さて、さる1月28日。通常国会が開会した。安倍首相は所信表明で「消費増税に野党の皆様もご協力を~」と言い出した。デフレ脱却前の消費増税8%でアベノミクスが腰折れし、いまだに景気が回復していない。そんな時に10%に増税したら、どうなるか、子供でもわかろう。安倍首相は「増税しても景気が腰折れしないように対策する」と再三再四明言し、今年度予算でもバラマキを拡大している。これでは、増税したら景気が悪くなると自白しているようなものではないか。  今年10月1日の消費増税10%が迫る状況で、日本経済に何が起きているか理解している人は少ないのではないか。  断言するが、日本で最も正しい主張を続けているのは、片岡剛士日本銀行政策委員会審議委員である。現在の日本銀行はデフレ脱却に向けて、金融緩和を続けている。その効果は消費増税によって減殺されているので緩やかでしかないが、景気を回復させている。これを推進している中心が、黒田東彦総裁、若田部昌澄副総裁、原田泰審議委員である。ほぼ毎月の政策決定会合で日銀の意思決定が行われているが、ここで片岡氏は「もっと金融緩和しろ!」と訴え続けている。  片岡、若田部、原田、それに岩田規久男前副総裁はリフレ派と言われ、デフレ脱却の枠組みを作った。現に消費増税8%前のアベノミクスは爆上げとなったので、その理論の正しさは証明済みである。ただ、妨害があるので苦しんでいる。リフレ派には、3つの敵がいる。  第一の敵は言うまでもなく、増税派だ。霞が関最強官庁と呼ばれる財務省と、その御用エコノミストたちだ。彼らはあらゆる詭弁を弄して増税の必要性を訴える。曰く、「日本の借金1000兆円。財政再建が必要だ」「高齢化社会に対応する福祉には財源が必要だ」「安倍内閣は史上最長の好景気だ。もう増税しても景気は悪くならない」云々。
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マトモな経済人はいないのかと疑いたくなる
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