更新日:2019年02月23日 12:44
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メジャーリーグ最古の球場「フェンウェイ・パーク」が大改造! クレイジー競技が開催された秘密

「われわれの強みは、どこにでもこの巨大なセットを作れるということ」  大会責任者のゲルハルト・ランツさんは胸を張った。2月8日から9日にかけて、メジャーリーグ最古の球場として有名なフェンウェイ・パークで、アイスクロス・ダウンヒル世界大会のATSXアイスクロス・ダウンヒル・ワールドチャンピオンシップ「レッドブル・クラッシュドアイス・ボストン」が開催。横浜大会と同じように、全長350m、高低差20m超の、巨大な氷のレーストラックが設営された。

 ボストンといえば、レンガ造りの家並み、裏路地にある石畳――。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学といった由緒のあるエリート大学でも有名。中世ヨーロッパの佇まいと知的な雰囲気が漂う、古き良き歴史が感じられるアメリカ屈指の古都だ。  1912年に開場したフェンウェイ・パークは、ボストンいちの観光地でボストニアンの誇り。そんな歴史的建造物に、“いつもの”巨大コースを造ってしまってよいものなのか……。「MLBで最も熱狂的」と呼ばれるレッドソックスファンの本拠地でもある。そこで現地を取材し、関係者に話を聞いた。

フェンウェイ・パーク名物「グリーンモンスター」からの眺め

老若男女の“テーマパーク”が…… 開催実現に至った驚きの経緯とは?

 球場内を歩いてみると、フェンウェイ・パークの雰囲気は、まるでテーマパークか博物館。ディズニーランドのようなワクワクと、博物館のような落ち着いた趣がある。

’07年のワールドシリーズ制覇コーナーに飾られた「松坂大輔」の日本語プレート

’13年のワールドシリーズ制覇コーナーには上原浩治(現・巨人)が胴上げ投手となった瞬間の写真が飾られてある

メディアルームへの通路には、ワールドシリーズで胴上げ投手となった上原の写真があった

 球場内には、“レッドソックス模様”のミッキーマウス像が立っていたり、おちゃめな球団マスコットのウォーリー・ザ・グリーンモンスター像が座るベンチがあったかと思えば(真ん中に座って記念撮影できる)、すぐ先のコンコースには1908年(!)から始まる歴代の球団ロゴマークが煉瓦の壁に沿って飾られていたり、さまざまな球団ゆかりの展示コーナーが設えられていたり。歴史を大切にし、古くも新しい、しみじみと良い球場なのだ。

レッドソックス柄のミッキーマウス!

マスコットのウォーリーは出場選手にも大人気

「ここでの開催は、フェンウェイ・パーク側からアプローチされて実現したんだよ」  ゲルハルトさんは、事もなげに言う。巨大コースを造ってしまって良いもなにも、造ってほしいとラブコールされたことに始まるというのだ。 「ありがたいことに、今やこの世界大会はとても有名になったので、開催してほしいと申し入れてくれる都市や会場は枚挙にいとまがない。カナダなんて4都市が“ウェイティングリスト”入りしているんだ」  レッドブルは、フェンウェイ・パークを所有するフェンウェイ・スポーツ・グループから、2年前にアプローチを受けると、昨季はセントポール大会にもオーナーが視察に来場。両者で詳細が話し合われた末、こうして実現に至ったという。
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フェンウェイ・パーク設営で大変だったことは? 「Nope!(ないよ!)」
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