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環境問題も社会問題も解決してくれる!? 開発者が語る、“DNP 多機能断熱ボックス”とは?

 C02削減に貢献してくれると話題の、大日本印刷が開発した「DNP 多機能断熱ボックス」をご存知だろうか? 同社が印刷事業で培ってきたコーティング技術やラミネート技術を生かした真空断熱パネルを活用して、内部の温度を長時間一定範囲に保つ輸送用の断熱ボックスだ。

DNP 多機能断熱ボックス

DNP多機能断熱ボックスに用いられる「真空断熱パネル」とは?

 この「DNP 多機能断熱ボックス」をどんな場面で利用すれば、“CO2削減”の助けになるのか? DNP開発担当である山中氏は、「特に2つの場面での“CO2削減”が期待できる」と語る。

「1つ目は、従来、発泡スチロールにドライアイスと製品を入れて冷蔵輸送していたものを、ボックスと保冷剤に切り替えて運ぶことが可能になります。ドライアイス使用量削減と発泡スチロール廃棄量削減はCO2排出削減につながります。2つ目は、航空輸送から海上輸送に切り替えることが可能になり、このこともCO2の排出削減につながります。赤道直下を運航する海上輸送では、昼間はコンテナ内部の温度が50度近くまで上がるため常温輸送が必要な製品は冷蔵コンテナを利用するか空輸するしかありませんでしたが、断熱ボックス内は環境温度からの影響を受けにくいため、コンテナ海上常温輸送を可能にできます」

DNP 多機能断熱ボックス

「DNP 多機能断熱ボックスと保冷剤」と「高密度発泡ケースとドライアイス」を使った場合のCO2排出量の比較

『DNP 多機能断熱ボックス』が、CO2の削減に役立つことはわかった。さらに、「環境だけでなく、深刻化する社会問題解決の鍵としても期待されているんです」と、山中氏は語る。

「まず、先進国との経済格差が問題視される東南アジアの市場を活性化させる可能性を秘めています。冷蔵車の準備が難しい上に慢性的な道路渋滞問題を抱える東南アジアでは、野菜や魚を用意しても腐らせてしまうことが多々ありました。しかし、『DNP 多機能断熱ボックス』を活用することで、生鮮品を産地から市街地まで運ぶことができ、市場が成り立つんです。もちろんフードロスの削減にもつながります。東南アジアではすでに一部実用化されており、その効果が認められています」

 また、国内での社会問題解決にも貢献してくれるはずだという。

「『DNP 多機能断熱ボックス』を使えば、常温と冷蔵を混載して運ぶことができるようになります。一度に違う温度帯の荷物を運べるようになるので、深刻化するドライバー不足の問題を解決するきっかけになるにちがいありません」

 そんな環境問題と社会問題の両方の解決に貢献してくれる、『DNP 多機能断熱ボックス』だが、開発にあたって苦労したこととは?

「実際の輸送時に使う際のシミュレーションには気を配りました。『DNP 多機能開発断熱ボックス』を運用すると、どんな環境で、何時間運ぶと何度になるのか、その時に必要な保冷材量は、を想定する独自のシミュレーションソフトを弊社で開発して、何度もシミュレーションを繰り返しました」

 わざわざオリジナルのソフトを開発してまで行った度重なるシミュレーションが、『DNP 多機能断熱ボックス』という傑作を生んだのだろう。

 この『DNP 多機能断熱ボックス』が、「産業の発展と地球環境との共生」に向けた、技術開発や保全活動などに熱心に取り組む企業、団体を表彰する、第28回「地球環境大賞」(主催:フジサンケイグループ)を受賞した。授賞式は4月22日、東京・元赤坂の明治記念で開催される予定だ。

 ちなみに、同大賞では、経済産業大臣賞は、高度な資源循環を実現するプラスチックのリユース・リサイクル工場を開設したキヤノン、国土交通大臣賞はエネルギー自給自足型住宅の開発・普及に取り組む積水化学工業が受賞。

 また、農林水産大臣賞は廃棄物だった間伐材や松葉から抽出・製造した高濃度フルボ酸を活用して土壌改良などに取り組む国土防災技術が、文部科学大臣賞は地域の課題である廃棄ウニから有機発酵液を作成する方法を開発した鹿児島県立鶴翔高等学校がそれぞれ選ばれた。

 環境諸問題に対して、産業界が果たす役割は今後さらに拡大していく。各企業・団体の積極的な取り組みに期待したい。<取材・文/日刊SPA!取材班>





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