イケメンほど出会いのチャンスがあり、女性経験も豊富。確かにその通りかもしれないが、男前なら全員がモテるわけではない。なかには30歳を過ぎてもまだチェリーボーイの者もいる。 「冗談抜きに“年齢＝彼女いない歴”です。学生時代からの親しい友人はそのことを知ってますけど、社会人になってからの知り合いにはいくら仲がいい人にも言ってません。ドン引きされるとこっちが辛いし、付き合いにくいので（苦笑）」 　そう語るのは、中堅ゼネコンに勤務する黒田基之さん（仮名・31歳）。星野源に似た今風のイケメン男子だが女性に縁がなく、童貞のまま30代に突入してしまった。 「中高は私立の男子校で女っ気はゼロ。大学でも野球部に所属しており、サークル活動や女子との飲み会とも無縁でした。チームメイトには彼女持ちの連中も多かったですけど、私は女性と接した経験がほとんどなく、マネージャーにすら緊張していたくらいなので」 　しかし、就職先には合コン好きの同期がいて、よく誘われるようになったとか。「これで自分もようやく彼女がゲットできる！」と思ったそうだが、同僚が次々と彼女を作るなか、黒田さんだけ何の成果もなし。さすがに焦りを感じるようになったそうだ。 「社会人になって仕事で女性と接する機会も増え、飲みの席でも普通に会話できるようになりました。でも、気に入った女性がいてもどうアプローチしていいのか分からず、相手から言ってこないとLINEのIDも交換できませんでした」 　それでも分からないなりにメッセージのやりとりを重ねて告白したが撃沈。合コンからデートを経ずにいきなり告白してしまうところに経験値の浅さを感じてしまうが、彼にとってはこれが人生初の告白。フラれ慣れていなかったこともあり、これで心が折れてしまった。 「しかも、相手の女性は私が告白したことを友達に伝え、そこから同僚たちにも知られてしまいました。『まあ、次があるよ！』って励ましてくれたけど、そうやってフォローされるのが正直すごく恥ずかしくて嫌でした。これがトラウマになってしまい、ますます自分からアプローチすることができなくなってしまったんです。また同じ目に遭ったらどうしようって。傷つくのは嫌だし、辛いだけですから」 　その後、異動などで合コンに誘われることも減り、30代になってからはプライベートで女性と知り合う機会そのものがないという。 「今は地方の営業所に勤務していて、周りも大半が既婚者。休日も家でボーッと過ごすかドライブするかで基本的に1人です。彼女がいたら嬉しいですけど、これまでの人生の中でいたことがないのでさびしいってわけでもない。孤独な期間が長すぎて、その状態に慣れちゃったのかもしれませんね（苦笑）」 　数年前からは萌え系のアニメにハマり、ほぼ毎日のように自宅で作品のネット動画を観ている。 「本物の女性から相手にされないから2Dのアニメキャラの女のコに逃げてると思ってますよね？　違うと否定したいところだけど、正直それもあるかもしれないので反論はできません。ほかの方がどうかわからないですけど、私の場合、きっと彼女がいたらこういった作品にハマることはなかったような気がします」