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親子ともに発達障害を疑われ…不安とどう向き合う?

― 光武克の「発達障害BARにようこそ」第9回 ― 東京・渋谷にある発達障害バー「The BRATs(ブラッツ)」。ここは、マスター以下スタッフのほぼ全員が“発達障害の当事者”であるバーです。当店には毎晩、僕らと同じように発達障害の悩みを抱えたお客さんたちが数多くいらっしゃいます。そんな生きづらさを抱えた方たちが少しだけ羽を休めに立ち寄るバーの日常を、僕、マスターの光武克(みつたけ・すぐる)がご紹介します。 ==【発達障害とは?】== ■自分の世界に閉じこもりがちな「自閉症スペクトラム症」(ASD) ■注意欠陥と衝動性が強い「多動性注意欠陥障害」(ADHD) ■特定分野(計算だけ異常にできないなど)の理解が困難な「学習障害」(LD) 上記の3種類が一般的に知られている。発達障害者はそれぞれ複雑な“特性”を抱えそれによって日常生活において、さまざまな支障が出る人も多い。 =============

高校の先輩から15年ぶりに連絡が

「ねえ、克君、発達障害のお店やっているって本当?」  ちょうどお店が休みで、ベッドの上でネットサーフィンをしていたときでした。高校の先輩から15年ぶりに突然連絡がきました。こういうときってSNSは便利ですね。もし、SNSがなかったらきっとこの連絡はもらえなかったでしょうから。 光武「あっ、佐藤先輩ですか? お久しぶりです。はい、実は1年半くらい前から発達障害をテーマにコミュニティバーを運営しています」 佐藤「実は、ちょっと相談に乗ってほしいことがあってさ。私の娘のことなんだけどね」 光武「フェイスブックでご結婚なさっていたことは知っていましたが、娘さんがいらっしゃるんですね。僕でよければぜひお話を聞かせせてください」 佐藤「ちょっと言いにくいんだけど……、娘が自閉症スペクトラムの可能性が高いんだ」  メッセージのやり取りから佐藤先輩のひどく苦しげな様子が伝わってきました。文面から伝わってくる印象は高校のころの先輩とはまるで別人で、一瞬、本当に先輩なのだろうかとメッセージを読み返してしまったほどです。当時の彼女は率先して人の前に立ち、集団を統率する力強さがありました。そんな先輩から弱気なメッセージが来ること自体、当時の僕なら予想すらできなかったと思います……。 佐藤「あのさ、一度お店に遊びに行っても構わないかな? 本当に急に連絡してこんなこと話しちゃってごめんなさい」 光武「お店に来ないでくださいなんて僕が言うわけないですよ。ぜひお待ちしていますね!」  やりとりから数日後、彼女はBRATsに重い足取りでやってきました。少し顔色も悪く、疲労の色が隠せていません。服装もやや暗めの色のシャツを身に付けており、髪やメイクの具合からも、見た目に気を遣う余裕のなさが見て取れました。 佐藤「克君、お久しぶり。この前は急に連絡しちゃってごめんね」 光武「あっ、先輩! いらっしゃいませ。いえいえ、お待ちしていました!」 佐藤「えっと、ここでいいかな?」 光武「よかったらカウンターにぜひ。ここはゆっくり話もできますしね。まずは、ご注文からうかがいますね」 佐藤「私、あんまりお酒強くないから、飲みやすいカクテルとかあるかな?」 光武「じゃあ、オレンジブロッサムとかどうですか?ジンベースなので香りがさわやかですし、オレンジジュースで割っているので、口当たりもよくて飲みやすいですよ」 佐藤「それじゃあ、オレンジブロッサムにするね」 光武「かしこまりました」
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子どもも自分も発達障害だった
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※ユーチューブチャンネル「ぽんこつニュース」でも光武さんが発達障害バーの日々を配信中

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