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社会に合わせるのがしんどい…と思うのは発達障害特有の「こだわりの強さ」が原因!?

 東京・渋谷にある発達障害バー「The BRATs(ブラッツ)」。ここは、マスター以下スタッフのほぼ全員が“発達障害の当事者”であるバーです。当店には毎晩、僕らと同じように発達障害の悩みを抱えたお客さんたちが数多くいらっしゃいます。そんな生きづらさを抱えた方たちが少しだけ羽を休めに立ち寄るバーの日常を、僕、マスターの光武克(みつたけ・すぐる)がご紹介します。

発達障害BAR====【発達障害とは?】====
■自分の世界に閉じこもりがちな「自閉症スペクトラム症」(ASD)
■注意欠陥と衝動性が強い「多動性注意欠陥障害」(ADHD)
■特定分野(計算だけ異常にできないなど)の理解が困難な「学習障害」(LD)
上記の3種類が一般的に知られている。発達障害者はそれぞれ複雑な“特性”を抱えそれによって日常生活において、さまざまな支障が出る人も多い。
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― 光武克の「発達障害BARにようこそ」第7回 ―


「バランタイン、ストレートで。あっ、チェイサーはいらないです」
「相変わらず、いい飲みっぷりですね」
「本当は日本酒が好きなんですよね。四合瓶だとすぐ空にしちゃうんで、なるべく一升瓶で飲むようにしているんですよ」
「えっと、飲み放題でその飲み方やられるとうちがつぶれちゃうんで、ほどほどにお願いしますね(笑)」

 若い女性とは思えない豪快な注文をする方、大学院生の楠田さんの登場です。実は以前にご紹介した橋本さんのご友人で、博士課程への進学を希望されていると聞いています。専門は…………、忘れてしまいました。これもまたADHDだからなんでしょうかね。意外と重要な情報だけ抜けてしまうことがあります。

 さて楠田さん、今日も相変わらずカパカパとお酒を飲まれています。

 前回の来店時も、橋本さんと一緒にカパカパお酒を飲んで、おしゃべりに花を咲かせていらっしゃいましたが、ちょっと前回よりペースが速いようです。何かわけがありそうなので、そのあたりをうかがってみましょうか。

楠田「私、最近悩んでいるんですよね」

光武「ほう。どうしたんですか?」

楠田「うーん、……ジェンダー的なものって言えばいいですかね」

光武「性差別とかですか?」

楠田「そうですね。進学校から一流大学に入って、一部上場企業に入社し、20代後半に結婚をし、子供を産んで、都内郊外に家を購入し、ちょっとした贅沢を楽しみながら子育てをする。こういう生き方を素直に肯定できないんですよ」

光武「最近の若い人はそういう考え方の人が多いみたいですね。とりわけ発達障害の方はその割合が多いと思います。楠田さん、両方当てはまっていますね(笑)」

 楠田さんも、ご友人の橋本さんと同様に、今日も相変わらずこだわりの強さを発揮していらっしゃいます。類は友を呼ぶと言いますけど、このお二人を見ているとついそんなことを考えてしまいます。

 以前トークイベントでご一緒した作家の雨宮処凛さんもおっしゃっていましたが、今の日本社会は、【若い】【強メンタル】の【成人男性】の働き方が中心なので、女性であるというだけで楠田さんはげんなりしてしまっているのかもしれません。そこで僕は、もう少し彼女の話を深く掘り下げてきいてみることにしました。

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一般的な価値観とズレているからこそ、新しい独自の視点を持てる

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※ユーチューブチャンネル「ぽんこつニュース」でも光武さんが発達障害バーの日々を配信中

発達障害グレーゾーン

徹底した当事者取材! 発達障害“ブーム"の裏で生まれる「グレーゾーン」に迫る





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