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安倍総理がじきに歴代1位の在任日数に。何の冗談なのか?/倉山満

自民党にしろ、立民にしろ、合格最低点をはるかに下回っている

 これは、国民が「政治とは、よりマシな選択の連続である」などとニヒルを気取ってきたツケだ。  自民党は1955年の結党以来、わずか4年の例外を除き、政権を独占してきた。  この党は最初、「日米安保体制と資本主義を守るならば、誰でも入れる」と、懐が広い政党だった。共産主義のソ連に対抗するためにアメリカのCIAが作った政党だから、こうなった。そもそもが、何でもありの、実にいい加減な政党なのである。  その二つすら、田中角栄が中国共産党と手を組んでからは、いいかげんになった。それでもバブルまでは、「国民に飯を食わせる」という存在意義はあった。経済政策だけはマトモだったのである。  ところが、バブルが崩壊し、長期デフレに突入すると、何の為に存在するのかわからなくなったが、他に代わる政党もなく、惰性で政権の座に居座った。  安倍内閣は、アベノミクスで緩やかな景気回復は実現してきたが、今後はそれもなくなる。  このような体制を放置すれば、どうなるか? 「野党に政権を渡せば、東日本大震災で無能をさらけ出して国民を地獄に叩き落した、菅直人内閣みたいになるぞ」と、自民党は脅してくるだろう。現に幹部が、「選挙で自民党に投票しなければ予算を付けない」と放言している。  今の野党、特に枝野幸男立憲民主党代表などの顔を思い浮かべれば、まさか野党に投票する訳にはいかない。やはり自民党しかない、と思うかもしれない。  しかし、自民党にしろ、立民にしろ、合格最低点をはるかに下回っているのだ。国民は、こんな丙丁つけがたい選択を、いつまで続けなければならないのか?  安倍内閣とて、最初から絶望的な政権ではなかった。むしろ、発足当初はデフレ脱却など2年で終えて、戦後レジームからの脱却を実現できるのではないかと期待できた。戦後レジームの脱却、すなわち敗戦国をやめることである。
木下康司

元財務次官の木下康司氏は、日本政策投資銀行会長に就任。日本をデフレ地獄に陥れた2013年の増税から6年、10月1日に控えた10%増税を前に何を思うのか(写真/時事通信社)

 2012年12月の政権発足の時、私は積極的に安倍内閣を支持した。  ところが、2013年10月1日。消費増税8%を決定する。デフレ脱却前の増税など、自殺行為である。政権の原動力である景気回復を腰折れさせるのは、目に見えている。では、なぜ?  消費増税を押し付けてきたのは、財務省である。財務省にとって、消費増税は政権に対する武器である。安倍内閣のような長期政権に対してこそ、効果的な武器となる。景気回復で強い政権になりそうな時、増税を押し付ければ、景気も政権の強さも挫くことができる。あまりに弱い政権だと増税を実行できないが、安倍内閣のような政権だと増税が可能である。

安倍首相その人の存在そのものが害だ

 少しでも分別のある政治家ならば官僚の言いなりになっての増税など拒否する。小泉純一郎などは、財務官僚を一喝して引き下がらせた。ところが安倍首相は2013年、時の財務次官木下康司の前に、惨めにも敗れ去り、消費増税8%を呑んだ。  その後は、10%増税を延期したが、デフレ脱却は不可能となった。  財務省からしたら、ほどほどに強いが、自分たちに逆らう能力がない政権である。こんな政権ならば、死ぬまで続けてもらっても結構だろう。  なぜ安倍内閣は長期政権なのに、何一つ実績がないのか? 何もしないから、長期政権にしてもらったのである。何もしないとは、既に権力を握っている財務省に逆らわない、既得権益を侵さないことである。  私は、2013年10月1日以降は消極的支持を続けてきた。だが、それも終わりだ。もはや、安倍首相その人の存在そのものが害だと言わねばならない。憲政史研究家 ’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。現在、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を行っている。ベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』など著書多数。最新著書に『13歳からの「くにまもり」
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13歳からの「くにまもり」

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