安倍総理の在任日数が歴代1位を射程圏に。何の冗談なのか?
何の冗談だ?
8月24日、安倍晋三内閣が通算在任日数で史上2位になった。11月20日には、通算在任日数2886日の桂太郎を抜いて、史上最長となる見込みだ。

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桂太郎は、日英同盟を結び、日露戦争に勝利し、日韓併合を成し遂げ、条約改正を達成した。小国日本を世界に冠たる大日本帝国に押し上げた、紛れもない名総理である。このような偉大な人物と並べられると、さすがに安倍首相も可哀そうだろう。
では、戦後の首相と比べる。
吉田茂(通算在任日数2616日)は、サンフランシスコ平和条約により、敗戦で占領下におかれた日本に独立を取り戻した。
鳩山一郎(745日)は日ソ共同宣言により、シベリアに抑留された50万人強の人々の帰国を実現した。
岸信介(1241日)は日米安保条約により、一方的にアメリカの従属下におかれていた状況を改善した。
池田勇人(1575日)は高度経済成長により、経済大国日本としての立場を完成させた。
佐藤栄作(2798日)はアメリカに奪われていた小笠原と沖縄を取り返した。
この5人に対しては、批判があったとしても、その功績を認めない訳にはいかない。戦後を代表する首相である。さて、安倍首相に、この5人に匹敵する功績があるか?
ない。絶望的なまでに、思いつかない。
今の安倍内閣が単なる惰性で続いているという冷厳な現実を最も自覚しているのは、安倍首相その人であろう。証拠がある。先日の参議院選挙で安倍首相は「あの民主党の悪夢に戻したいのか」と国民を恫喝して政権を維持した。それしか言うことがないのである。
何を勘違いしたのか安倍外交を褒めそやす論者がいるが、先にあげた5人の首相のような実績は何もない。北方領土は交渉するたびに後退するし、拉致被害者奪還にしても北朝鮮に相手にされていない。安倍外交の実態など、外国の機嫌を取っているだけである。
経済にしても、緩やかな景気回復は達成しているが、それも消費税が10%に上がる10月1日までの話だ。もし安倍内閣の事績を後世に記すとしたら、「二度の消費増税を実現した首相」と書くしかない。
災害対策だけはマトモで、阪神・淡路大震災や東日本大震災のような悲惨さはない。しかし、政治において災害対策など、できて当たり前である。そんなことしか威張れないこと自体が、日本政治の劣化である。