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44年ぶりの五輪に向け懸命のリハビリ。女子ハンドボール「おりひめジャパン」池原綾香の「折れない心」

「日本の最大のライバルは韓国」

 女子ハンドボール日本代表が五輪に出るのは、’76年のモントリオール五輪以来44年ぶり。池原は当時の様子を知る由もなく、「おりひめジャパンにとって五輪がどんな舞台になるかは未知だし、想像すらできない」という。実際に出場が決まった時も「予選はなかったし、当初は実感が沸かなかった」と話している。 「日本の最大のライバルは韓国。私自身、リオ五輪の予選で韓国に負けたときは、戦う準備ができていなくて、それが海外に出てプレーしたいと思うきっかけになった。東京五輪には予選で韓国に勝って出たかっただけに開催国枠での出場には複雑な思いもあります」  ’17年の世界選手権は決勝トーナメント1回戦でリオ五輪4位のオランダに敗れたものの、延長戦にもつれ込む激闘を演じた。’16年に改革の切り札としてデンマーク人のウルリック・キルケリー監督(デンマーク女子代表のコーチとして’13年の世界選手権3位に貢献したほか、デンマーク1部のオーデンセなどを指揮)を招聘し、確実な成長はうかがえるが、好不調の波が激しいのは日本の課題でもある。 「いちばんはアップダウンがあること。いいときはいいけど、悪いときはどん底まで下がっちゃう。そこを試合中にどうコントロールできるか」    ハンドボールは’16年リオ五輪で実施された28競技のうち、唯一男女ともに日本が出場を逃がした競技。メジャー競技でないことで辛い思いをしたことがあるかと聞けば、池原は「まさに今かな」と笑った。 「11月に熊本で世界選手権があるのに、話題は全部ラグビー(ラグビーW杯日本大会。9/20〜11/2)に持っていかれているし。もちろん、ラグビーは前回のW杯で強豪の南アフリカに勝って、ハンドボールは結果が出てないこともありますが……。例えばテレビのバラエティ番組にもラグビー選手は出ているのに、ハンドボール選手にはほとんど声がからない。男子では元ハンドボール日本代表の宮崎大輔選手が知られていますが、女子は誰? ってなるじゃないですか(苦笑)」  東京五輪での目標については「目指したいのはメダル」とするも、「まずは世界選手権でどこまで戦えるか。世界選手権でベスト4以上をねらって、いい形で五輪に繋げたい」と話す池原。決して簡単な道のりではないが、ハンドボールをメジャーにするために、彼女はいまもリハビリを続けている。 【プロフィール】 いけはらあやか ’90年9月24日、沖縄県生まれ。11歳でハンドボールを始め、那覇西高、日体大を経て、国内トップリーグの三重バイオレットアイリスに加入。’17年夏にデンマーク1部のニューコビン・ファルスターに移籍。’17-’18シーズンには日本人として男女を通じてEHF(ヨーロッパハンドボール連盟)チャンピオンズリーグに出場。’14年から日本代表。ポジションは右ウイング。自慢の左手から放つ緩急をつけたシュートが武器。157cm、53kg 取材・文/栗原正夫 撮影/ヤナガワゴーッ!
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