もともとネトラレ役は、汁男優を使っていたそうだが、不倫モノの人気が年々と高まるにつれ、視聴者の目が肥えた結果、ドラマ仕立ての本格的な作品を作りたいという制作サイドの要望が増えていったのだ。そこで重宝されたのが、俳優として演技力に定評のあった松本さんだ。 　松本さんは、「あくまで、AVだろうと作品。僕は“寝取られる人”を全力で演じてるだけです」と話す。演じるうえでこだわりがあるという。 「ネトラレ俳優といえど、僕は役者ですから。まず、台本ですね。撮影の前日までに台本をくれない現場はNGにしています。なぜなら、準備が必要なんです。事前に役どころを頭に入れておきたい」 　台本を当日に渡されてしまうと、役作りにも不備が出てしまう。実は、衣装も自前なのだ。 「ネトラレ役って当然、旦那ばかりなのですが。とはいえ、役によって違いを出すようにしているんですよ。たとえば、冷たい性格の旦那さんなら、縁無しメガネ。ナヨナヨ系の旦那さんなら、分厚いメガネ。毎回髪型は変えるし、スーツも着分けてますよ。社長とかなら持ってるなかでいちばん高いスーツ。普通のサラリーマンなら安いスーツを選んでいますね」