世の中のデブに対する偏見と現実への苦悩
――大橋さんは先日ツイッターで「言いたいことあっても、言えない。世の中ウソだらけで、悔しい想いも沢山してきたけど。頑張ってればこうやって、認めてもらえる。それが嬉しい。」(原文ママ)とコメントされてました。
大橋:恥ずかしいですが、あれはまさに私の心の底から出てきた言葉です。確かにツラい思いをたくさんしてきたけど、頑張っていればいつか誰かが認めてくれるって思えたし、だからこそ、その言葉を現実のものにしたいと真剣に思っています。
大橋ミチ子
――とはいえ、正直「デブ」という存在に対する世間の目はまだまだ厳しいですよね。多様性が叫ばれる今の社会においても、普段から「デブ」に対する風当たりのキツさを感じますか?
大橋:感じます。今より30kg痩せていたにもかかわらず、街で見ず知らずの若い人から、すれ違いざまに「おいデブ!」って言われたことがありました。私自身も太ってることに対してネガティブに受け止めていた時期だったので、その一言で、もう一日中、気分が落ち込んでしまいましたね。
多田:私もすれ違いざまに「大根じゃん、脚」ってからかわれたことがあります。
橋本:こないだは地下鉄の駅のホームでいきなり「おい、デブ!」って言われました。振り向くと私の祖父くらいのいい年した大人でした。でも、私が追いかけたら逃げてしまったんですよ。だったら最初から言わなければいいのに。残念だけど、そういう人たちのせいで、デブに対する偏見ってどんどん広がっていくんだなって。それに、言われた私のほうもサラリーマンの方に対して「社畜」とか「おっさんのくせに」といった偏見を持ってしまうから誰も得しないですよね。
大橋:私たちだけでもこんなにエピソードがあるんだから、世の中のデブのなかにはもっといろんな嫌な思いをしてる人がいっぱいいると思います。
――特に今はSNSがあるから、偏見や敵意がさらに増幅され拡散してしまう危険性をはらんでます。
橋本:やっぱりいまだに「デブなのはだらしない性格だからだ」と一方的に決めつけられますよね。
大橋:そういう声にくじけそうになることはしょっちゅうあります。今だって動画を上げただけで、めちゃくちゃ叩かれますし。
多田:「太ったね」「痩せたね」って、見た目についてのコメントばっかり書き込まれたり。でも、私が太ってることで何か周りに迷惑かけてますか?
多田えり
橋本:もし、自分が同じことを毎日のように言われ続けたとしたら、どういう気持ちになるのか一度でいいから考えてみてほしい。デブだって一人の人間として扱ってほしいんです。太っているだけで「こいつにはひどい言葉を言っていいんだ」と決めつけられ、何か線を引かれてしまっていることが、すごくツラいですね。
大橋:だからこそ私たちは今の体形のまま売れないといけないと思うんです。デブが少しでも生きやすい社会を目指して。これはもう私たちの使命です。
――12月のライブでは具体的にどのような内容を売りにしてPRしていこうと思ってますか。
大橋:それぞれがソロ曲をパフォーマンスするので、それが見せ場の一つですね。
多田:私は元気キャラなので、曲はポップで明るく、聴いた人が元気になれる曲を目指しています。こう見えてメンバーのなかで一番踊れるので、ダンスもけっこう激しく入れてみようかなと思います。自分の強みを生かしたパフォーマンスをお見せしたいですね。
橋本:私はプリティのなかにも少しだけスパイスが効いた女のコの曲です。友達にいたら嫌なタイプかもしれないけど、それはアイドルを続けていくうちに気づいた、私の中にもある女のコの部分でもあるんです。その意味ではありのままの私をお見せできるかなと。
大橋:私は、歌詞に関しては太った女性の強い意志をひねって面白く表現しているんですけど、曲調は昔のハロプロさんのような感じになっています。ダンスがあまり得意ではないので、ウオーキングなどでセクシーさを出して、かっこよさをお見せしたいです。
――正直まだまだ状況は厳しいと思いますが、ずばり、勝算は?
大橋:確かに今の私たちにとって、800人規模のライブハウスを満員にするということは、めちゃくちゃ厳しいハードルであることは間違いありません。でも、思っているだけでは何も変わらないじゃないですか。悩んだり立ち止まったりする暇があれば、私たちのことをもっとたくさんの人に知ってもらうためにはどうしたらいいのか考え、すぐさま行動に移していきたいです。
――具体的には?
大橋:今回のグラビアもそうですが、面白い動画を作ることで新しいファンを獲得して、動員につなげたい。残り2か月、ライブの準備と並行して最後まで積極的に私たちの存在を世の中にアピールしていくつもりです。
多田:私たちのYouTube公式チャンネルも2日に1回のペースで動画をアップしていますが、ライブ当日に向けて内容をもっと充実させていきたいです。
大橋:今はだいたい一つの動画で10万回再生はいくので、それをいかに動員につなげられるかがポイントですね。