渋谷ハロウィンの混乱を抑えた“コワモテな民間警備員たち”の正体
今年も荒れに荒れた「渋谷ハロウィン」……と、テレビ報道だけを見て、そう感じた人も多いのではないだろうか。テレビ局のネット動画サイトでは、渋谷スクランブル交差点に設置された定点情報カメラの映像を常時配信するなど「今年も何かが起こるのではないか」と期待するマスコミ、そして視聴者の関心の高さをうかがわせた。
実際に逮捕者も出た。しかし、今年の渋谷ハロウィンは「例年よりもマシだった」という声も聞こえてくる。その裏には、警察だけではなく、渋谷区から依頼された民間会社の警備員たちの功績がある。
まずは、当日現場を取材した大手紙記者の話。
「渋谷駅ハチ公口にたどり着いた時、あまりの人の多さに驚きました。これは確実に大きな事件が起きると。でも蓋を開けてみれば、去年ほどの混乱はなかった、というのが正直なところ。翌11月1日の渋谷警察署の発表によれば、今回逮捕されたのは9事案で9人。スリなどの窃盗、警官を殴ったなどの公務執行妨害、喧嘩などの暴行、そして痴漢です」(大手紙記者)
件数だけで言えば、昨年は13件の事案が発生していたからマイナス4件ということになり、件数的にも確かに「マシ」だというのだ。さらに言えば、常に若者が集まる渋谷署管内においては、こうした事案は日常的にも発生しているために、100万人とも言える人出の割には「平和だった」という結論に行き着くという。
そして、テレビ出演で話題になった渋谷センター街の理事長が激怒しつつ明かした「警備費に1億円」を費やした体制の効果も現れているのではないかと言われている。同じく、ハロウィン当日を取材したテレビディレクターも続ける。
「今年は渋谷駅近くのコンビニ店などが酒類販売を自粛するなどして、酒に酔った若者が大暴れする、といったシーンが少なかった。酔った若者が徒党を組めば、相手が警官だろうと悪態をつく、殴りかかる人だって去年はいましたから。
今年、静かに存在感を放っていたのは、センター街などに配置された屈強な“セキュリティ”たちです。夏のプールの監視員のごとく、高い椅子に座って道ゆく若者たちに注意を促していた。彼らの存在は若者にも知られており、単なる警備員、それこそ警察以上に恐ろしい存在とも言われています」(テレビディレクター)
その存在とは「BONDS(ボンズ)」なるセキュリティチームだ――。
その屈強な見た目と統制力……実は若者たちには知られた存在なのだが、彼らはいったい何者なのか――。
ハロウィン当日、渋谷にはコワモテな警備員の姿が…
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佐賀県出身の編集者、ライター。元番組制作会社、出版社社員。著書に『脱法ドラッグの罠』(イースト・プレス)、共著に『ヘイトスピーチとネット右翼』(オークラ出版)。
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