規制強化の渋谷ハロウィン「一方通行の道をひたすら歩くだけ」だった
2023年の渋谷ハロウィンは、極めて厳重な警備体制の下で行われた。もちろん、「行われた」というのは「渋谷区が意図したイベント」という意味では全くない。自然発生的に人が渋谷駅周辺に集合し、各々が自由に楽しんでいた……と書けばより実態に近いか。
渋谷区は「ハロウィン当日は渋谷に来ないで」と呼びかけ、路上飲酒のみならず規制区域での立ち止まりすらも許さなかった。そんな渋ハロの様子を覗いてみたので、この記事で一部始終をお伝えしたい。
筆者がJR渋谷駅を降りたのは、10月31日午後5時である。
この日、別件(ハロウィンとは無関係のイベント)の取材で渋谷に来たのだが、ハチ公前広場とスクランブル交差点には既に大勢の人が集まろうとしていた。もっとも、ハチ公前広場は覆いでグルグル巻きの状態にされ、ハチ公像を拝むことは一切叶わなかった。
また、そもそもコスプレして渋谷に馳せ参ずる人が例年より少なかった。これは見た目でもはっきり分かることである。そしてその中でコスプレをしている人は、大半が外国人だったことも書き留めておかなければならない。
渋ハロは今や世界中にその存在が知れ渡っている「日本独特の奇祭」。それを目当てに来日する旅行者も少なくない。が、彼ら旅行者が抱いていた期待は見事に裏切られたのではないだろうか。
JR渋谷駅からスクランブル交差点、そして渋谷センター街に至る道程は右側通行の措置が敷かれた。その上、コスプレイヤーの撮影等のために路上で立ち止まると、すぐさま警察官か屈強で知られたBONDS SECURITYがやって来て口頭で注意される。どうしても撮影がしたければ瞬時の判断でコスプレイヤーに声をかけ、瞬時の判断で安全そうなスペースを見つけ、瞬時の判断でシャッターを切る。用が済んだら歩行を再開する……という流れである。分かりやすく言えば、当日の渋谷は「人間回転寿司」のような状態だったのだ。
外国人旅行者の間では、「日本は路上飲みができる国」として知られている。
日本以外の国で路上飲みなどやろうものなら、あっという間に泥棒の餌食になってしまう。スリも強盗も、真っ先に狙いをつけるのは道端の泥酔者だ。しかし日本では路上で酔い潰れたとしても盗難の憂き目に遭う可能性が低い国で、だからこそ世界有数の大都市の喧騒を楽しみながら安心して路上飲みができる……という発想である。
もちろん、その地域で店を構える人にとっては路上泥酔者などたまったものではない。今年の渋ハロでは路上飲み禁止区域が設定され、同時に徹底した監視も行われた。上述の「人間回転寿司」と相成り、少なくとも禁止区域では路上飲みはほとんど見かけなかった。
2023年の渋ハロは「人間回転寿司」状態
日本は「路上飲みができる国」か?
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