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将棋「JTプロ公式戦」タイトルホルダー同士の決勝は渡辺明が勝ち、2連覇を達成

今年度高勝率同士の対決

 タイトルホルダー、賞金ランキング上位者などトップ棋士12名だけが出場できる「将棋日本シリーズJTプロ公式戦(以下、JTプロ公式戦)」。  トーナメントをそれぞれ勝ち上がった、渡辺明JT杯覇者(棋聖・棋王・王将)と広瀬章人竜王による決勝戦が17日、幕張メッセで開催された(以下、敬称略)。渡辺の今年度成績は11月20日現在で、23勝4敗(勝率:8割5分1厘)、広瀬の今年度成績は16勝7敗(勝率:6割9分6厘)と、好調中のタイトルホルダー同士の戦いに注目が集まった。  持ち時間10分、考慮時間1分×5回と、超早指しで行われる本棋戦。将棋は角換わりから、先手番の広瀬が「雁木」と呼ばれる戦法を目指し、渡辺が5筋に取った位に反発したところから、力将棋(定跡や過去に似た形のない将棋)に。細かい攻めを繋げようとする広瀬に対して、渡辺が受けきる形で90手で勝ち、JT杯2連覇を果たした。

▲広瀬―△渡辺 45手目▲2二歩の局面

 局後の感想では図の2二歩と打った局面が検討された。広瀬は「手筋と思い打ったが、本譜で攻めがないのではブレーキを踏まないといけなかった」と語る。打った歩を金で取らせることで、“壁金”の悪形になることが手筋である所以だが、素人から見て「こんなところに反省点があるの?」というところに、プロ棋士の読みの深さが伺える。そして20手ほど進んだのが下図。

▲広瀬―△渡辺 66手目△4三同金の局面

 広瀬の猛攻により、後手玉の囲いは原型をとどめていない不思議な形に。「攻めは飛車角銀桂」と言われるが、先手は金銀が攻めに参加してなく、攻めが細い印象がある。その後、渡辺は正確に受けつつも、先手の飛車をいじめながら先手玉に迫る手が急所に利き、鋭い切れ味で勝利を飾った。

位に反発する▲5六歩は意表でした

 勝った渡辺明JT杯覇者は「後手番になったので、ちょっと力戦っぽい展開にしました。序盤が『これも一局』という感じで互角で乗り切れれば、後手としては十分ですから。封じ手後の▲5六歩はちょっと意表でしたが、すかさず△6五歩と反発したのは気合いです。先手の▲2二歩は手筋ですが、その後の攻めが指し過ぎだったかもしれません。62手目2三玉と上がって優勢を自覚しました。これで連覇することができましたが、JT杯40回の歴史の中で3連覇は郷田九段しかいないんですよね。来年はそれを目標に頑張りたいですね」と語った。  大勢の観客の前で公開で対局するJTプロ公式戦には、大会を通じて1028人が来場。超早指しで展開されるトップ棋士の戦いに酔いしれた。また、同時開催される「テーブルマークこども大会」には2494人(低学年1271人、高学年1223人)が参加し、活況を呈した。〈取材・文/日刊SPA!取材班〉
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